品川駅「京急線を覆う高層ビル」建設へ ホームの地上化にあわせ



京急電鉄とJR東日本の2社は8月29日、2社が事業主体となる「品川駅街区地区」の開発計画の概要を発表した。地上に移設される品川駅の京急線ホームを覆うような形で高さが最大150mの高層ビルを3棟建設する。2036年度までの完成を予定。

品川駅の京急線ホーム。現在は高架上だが連立事業により地上に下ろす工事が進められている。【撮影:草町義和】

計画地は東京都港区の高輪3丁目・港南2丁目で、品川駅西側の北寄りから八ツ山橋付近までの範囲。全体の敷地面積は約3万3500平方mになる。「北街区」「南街区(南-a)」「南街区(南-b)」の三つに分け、各街区を結ぶ歩行者ネットワークを整備する。

品川駅街区地区の位置(赤枠)。【画像:京急電鉄・JR東日本】
品川駅街区地区の配置図(赤枠)。【画像:京急電鉄・JR東日本】

JR東日本が事業主体の北街区(敷地面積:約1万4700平方m、延べ面積:約16万5000平方m)には、事務所や店舗、駅施設、駐車場などが入る高さ約150m(地上28階・地下3階)の高層ビルを建設する。

南街区は京急電鉄が事業主体。このうち「南-a」(敷地面積:約1万7300平方m、延べ面積:約20万1000平方m)には高さ約150m(地上28階・地下2階)の高層ビルを整備し、事務所・店舗・宿泊施設・集会場・駅施設・駐車場などを設ける。「南-b」(敷地面積:約1500平方m、延べ面積:約8300平方m)は高さ約47m(地上9階・地下1階)のビルを整備。事務所や店舗、駐車場などが入る。

品川駅街区地区のイメージ。高さが最大150mの高層ビルを設ける。【画像:京急電鉄・JR東日本】
イメージの右下には高層ビルの下に入りこむ京急線の線路が見える。【画像:京急電鉄・JR東日本】

まず2025年度から北街区・南-aの工事に着手。2030年度には北街区を完成させて南-bの工事に着手する。2032年度に南-bを完成させ、最後に南-aを2036年度に完成させる予定だ。

品川駅を含む京急本線の泉岳寺~新馬場では、北品川駅の前後3カ所にある踏切を解消する連続立体交差事業が進められている。事業施行期間は2030年3月31日まで。北品川駅付近を高架化する一方、高架上にある品川駅の京急線ホームはJR線ホームと同じ地上に下ろす。これに伴い、地上化した京急線ホームの上方空間を活用した再開発が計画された。

品川駅では東側にある東海道新幹線ホームの下でリニア中央新幹線の始発駅が工事中。西側に隣接する国道15号(第一京浜)の地下には東京メトロ南北線分岐線の品川駅(仮称)が設けられる計画で、2030年代半ばの開業を予定している。

ほかにも「品川駅街区地区」に隣接する区域で再開発が計画されており、国土交通省の関東地方整備局は第一京浜の上方空間を活用した駅前広場の整備を計画。自動運転の乗り物などの乗り場を集約した次世代モビリティターミナルなどを設ける。この駅前広場の西側に位置する再開発エリア「品川駅西口地区」では、京急電鉄とトヨタ自動車が高さ約155m(地上29階・地下4階)の高層ビルを建設中だ。

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