東海道線の事故「傾いた電柱」に衝突か JR東日本、過去にも電柱倒壊で長時間運休



JR東日本は8月6日、東海道線の大船駅構内で発生した列車と電柱の衝突事故について謝罪し、事故の概要を発表した。

電柱との衝突で大きく損傷した列車の先頭部。【画像:JR東日本】

8月6日16時時点のJR東日本の発表や記者会見などによると、事故は8月5日21時24分、大船駅構内(東京駅起点47.243km)で発生した。小田原発横浜行き臨時列車(E231系電車15両編成、列車番号9974E)が藤沢駅から大船駅に向かって走行中、電柱と衝突。乗客3人がけがをしたほか運転士がすり傷を負い、乗客9人が体調不良を訴えた。

これにより電柱が折れたほか架線が垂れ下がり、架線の張力を調整する装置が脱落。列車は先頭15号車で前面が大きく損傷したほか、客室内も天井板が垂れ下がるなどの損傷が発生した。15号車から7号車までは屋根に多数の穴があき、屋根上のアンテナや空調装置も損傷。パンタグラフは13・9・7・3号車に搭載しており、このうち7号車のパンタグラフが損傷した。

列車と衝突して折れたとみられる電柱。【画像:JR東日本】
先頭15号車の客室内も天井板が垂れ下がるなどの損傷が発生した。【画像:JR東日本】

事故発生後、東海道線や横須賀線、京浜東北線・根岸線は運転を見合わせ。東海道線6本と横須賀線4本、京浜東北線・根岸線3本の合計13本の列車が駅間で停車した状態となり、事故発生1時間後の22時24分から乗客を降ろして最寄りの駅まで誘導した。

翌8月6日未明の2時17分から復旧作業に着手し、損傷した電柱や架線などの撤去と調整作業を開始。乗客の誘導が完了した直後の2時46分に京浜東北線・根岸線の運転を再開し、横須賀線も4時17分に運転を再開した。

東海道線は4時42分から事故列車の点検を開始。5時20分に復旧作業が完了して5時39分から送電を開始した。事故列車は6時37分に点検を完了して回送。8時00分には全面的に運転を再開した。このほか、湘南新宿ラインは15時ごろまで新宿以南の運転を見合わせた。JR東日本は約15万人に影響したとしている。

事故現場の設備の配置や構成。【画像:JR東日本】

事故原因についてJR東日本は調査中としているが、同社の鈴木均常務取締役は記者会見で「何らかの理由で線路のあるほうに傾くか何かしていた電柱が(列車に)ぶつかったものと考えている」と話した。電柱は国鉄時代の1980年に取り付けられたもので、今年2023年8月2日の点検では異常は確認されなかったという。

JR東日本では2015年、山手線・神田~秋葉原で内回りと外回りの線路のあいだにある電柱が倒壊。電柱と列車の衝突はなかったが、朝から16時少し前まで運転を見合わせたことがある。

《関連記事》
東海道線で列車破損、運転見合わせ 8時ごろ再開(8月7日4時50分)
南武線・谷保~立川「高架化」構造や工期など詳細公表 踏切19カ所を解消・廃止