徳島県の後藤田正純知事は6月21日、徳島駅の北側に改札口を設ける考えを明らかにし、関係者と今後議論する方針を示した。
後藤田知事は同日開かれた県議会6月定例会で「(現在の徳島駅は)改札口が南側の1カ所しかなく、鉄道利用者にとって不便な状態」とし、駅の北側にある徳島中央公園や徳島城跡などへのアクセス向上のため、北側にも改札口を設けることが必要との考えを示した。そのうえで「徳島駅周辺が持つポテンシャルを最大化するため、まずは徳島市やJR四国などと議論できるよう呼びかけていく」と述べた。
一方、徳島文化芸術ホール(仮称、新ホール)の整備計画に関連して構想されている牟岐線の新駅は、設置を中止する方針を明言した。
後藤田知事は「知事選を通じ、県民の皆様から『徳島駅と新駅の距離が近い、徳島駅周辺のにぎわいを取り戻してほしい』といった多くの声を頂戴した」「知事就任会見でも公約通り(新駅の設置中止を)やらせていただきたいと申し上げた」とし、改めて設置を中止する考えを述べた。
新ホールは牟岐線・徳島~阿波富田の線路沿いにあった徳島市立文化センター(2015年閉館)の跡地を中心に整備する計画で、これに伴い新ホールの最寄駅となる新駅の構想が浮上した。これまでの想定では、徳島駅から約650m阿波富田寄りの徳島市役所東駐車場付近に設置。長さ約90mの単式ホームを整備し、駅舎は設けない。工事費は2億5000万~3億円程度を見込んでいた。
しかし今年2023年4月に行われた徳島県知事選で、新ホールの計画縮小や新駅計画の中止を公約に掲げた後藤田氏が現職の飯泉嘉門氏らを破り当選した。
後藤田知事は、大ホールと小ホールで構成される新ホールの従来の整備計画についても、大ホールの規模を縮小して小ホールは建設を中止する考えを示している。
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