静岡鉄道「一律20円値上げ」申請 初乗り160円に、来年4月から



静岡鉄道は10月26日、国土交通省の中部運輸局長に鉄道事業(静岡清水線)の旅客運賃の上限変更認可を申請した。申請通り認可された場合、認可された上限運賃と同額の実施運賃を設定。来年2023年4月1日に値上げする。改定率は12%で普通旅客運賃が10.8%、定期運賃は14.5%。

静岡鉄道の列車。【撮影:鉄道プレスネット(AT)】

普通旅客運賃は各距離で一律20円を加算する。初乗り運賃(2kmまで)は現在140円ところ160円に。新静岡~新清水の11.0kmは現在の330円から350円に値上げされる。

定期旅客運賃は通勤1カ月の場合、2kmまでが1060円値上げの5760円に。値上げ幅が最小なのは4kmの360円(5760円→6120円)で、最大は11kmの2030円(1万2670円→1万4700円)になる。新静岡~草薙の定期券「特定7」は1610円値上げの9660円。通学定期券は「学ぶ人や子育て世代を応援するため」として据え置く。

静岡鉄道の鉄道部門収支(特別利益や特別損失除く)は2021年度の実績で1億4156万4000円の赤字だった。値上げが申請通り認可された場合、2023~2025年度の3年間合計で2271万9000円の黒字を見込む。

静岡鉄道によると、施設の老朽化や安全対策の高度化などで設備維持の費用が増加。一方で利用者数は1968年をピークに人口減少や景気低迷の影響で減少しており、鉄道事業は2006年から赤字が続いている。これに新型コロナウイルス感染拡大も響き、今後もコロナ前の水準まで需要が戻らないことが想定されているという。

同社は「このような厳しい経営環境においても、事業継続の前提となる輸送の安全を確保し続けるため」運賃の値上げを申請。車両更新の完了や駅のバリアフリー化推進などで利用者の利便性・快適性の向上に取り組んでいくとしている。

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