広島市中心部の公共交通「共同経営」認可 路面電車・バスの均一運賃エリアを拡大統合



国土交通省は10月18日、広島市中心部の公共交通7社が申請していた共同経営計画を独占禁止法特例法に基づき同日付で認可したと発表した。これに伴い7社は11月1日に運賃を改定。路面電車・路線バスの均一運賃エリアを拡大する形で統合し、利用しやすい公共交通の構築を目指す。

広島電鉄の路面電車。【撮影:草町義和】

共同経営を申請していたのは広島電鉄、広島バス、広島交通、中国JRバス、芸陽バス、備北交通、エイチ・ディー西広島の7社。この共同経営計画に関連して広島市が申請していた地域公共交通利便増進実施計画も、地域公共交通活性化再生法に基づき認定された。

11月1日からは、広島市内の路面電車と路線バスの均一運賃エリアが統合される形で拡大。エリア内の運賃額は路面電車・路線バスともに220円(路面電車の白鳥線は190円)で統一される。この結果、従来の均一運賃エリアでは30円値上げされるが、エリア拡大後の一部の区間では10~20円ほどの値下げに。運賃の統一で利便性の向上も図られるという。

現在の190円均一運賃エリア(赤枠)と改定後の220円均一運賃エリア(黄枠)。【画像:広島電鉄】

地方の公共交通は人口減少などの影響で厳しい経営環境にある。このため経営力強化策の一つとして、複数の事業者がダイヤや運賃を調整するなどして共同経営を行うことが考えられるようになった。

共同経営は独占禁止法で規制されていることから、国は2020年11月に独占禁止法特例法を施行。共同経営計画の認可を受ければ、共同でダイヤを設定したり共通の運賃を定めたりすることが可能になった。独占禁止法特例法に基づく共同経営は現在、JR四国と徳島バスなどで実施されている。

広島電鉄は今回の認可・認定を受け「引き続き関係自治体及び関係事業者と協力し『利用者にとってわかりやすく使いやすい持続可能な公共交通体系の構築』を進めてまいります」とコメント。国土交通省は共同経営計画の実施で利便性の向上とそれに伴う利用者の増加などによる経営基盤の強化が期待されるとしている。

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