予土線の駅を拠点に「自動運転」実証実験 磁気マーカーのコスト削減など検証



高知県四万十市とJR四国は7月14日、予土線の江川崎駅を拠点に近隣の観光施設などを結ぶ「自動運転モビリティ」の実証実験を実施すると発表した。

実験期間は8月21~28日。7~17時台に江川崎駅~道の駅よって西土佐で合計16本の自動運転車両を運行する。所要時間は片道10分。江川崎駅の発着時刻は予土線との接続を考慮して設定される。予約があれば道の駅よって西土佐から四万十市西土佐商工会や四万十・川の駅カヌー館、ホテル星羅四万十まで手動で運行する。運賃は無料。

自動運転車両の運行区間。【画像:四万十市・JR四国】

これにあわせて8月20・27日の計2日、JR四国が高知~江川崎を往復する団体列車ツアーを実施。江川崎駅構内では軌道自転車(レールバイク)の体験乗車イベントも行われる。団体列車は特急型気動車の2000系で運行。2000系が予土線に乗り入れるのは2018年2月以来だ。

この実証実験は予土線の利用促進や沿線の地域振興、持続的な公共交通の実現などを目指し、国土交通省と高知県の協力を得て実施されるもの。自動運転を活用したローカル線のあり方の検討などを行う。

実証実験で使われる自動運転車両は、道路に埋設された磁気マーカーとRFIDタグを読み取ることでハンドル操作や加減速、停止、方向指示器の制御などを行う。走行中は緊急時に備えてドライバーが運転席に乗車し、手動運転にも切り替えられるようにする。

実証実験で使われる自動運転車両。【画像:四万十市・JR四国】

自動運転の実装にあたっては磁気マーカーなど自動運転補助施設の設置にかかるコストも課題とされており、今回の実証実験では設置コストの削減などの検証も行うという。

磁気マーカーを使って車両を誘導するタイプのトヨタ「IMTS」。【撮影:草町義和】
韓国・セジョンのBRTでも磁気マーカー誘導方式のバスが運行されていたことがある。【撮影:草町義和】
セジョンBRTのバス専用レーン。路面に磁気マーカー(白丸)が設置されている。【撮影:草町義和】

道路に敷設した磁気マーカーで車両を誘導する自動運転としては、トヨタグループが開発したIMTSがある。2005年の愛知万博では鉄道扱いで万博会場内を走行した。韓国・セジョンのバス高速輸送システム(BRT)でも磁気マーカーで車両を案内、誘導する方式のバスが一時期運行されたことがある。

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