和歌山線「無線式ATC」導入中止 「目覚ましい進歩」受け別の保安システム検討へ



JR西日本は和歌山線に無線式の自動列車制御装置(ATC)を導入する計画について、事実上中止する考えを明らかにした。別の新技術による保安システムの導入を目指す。

和歌山線の列車。【画像:ポニー/写真AC】

同社は2018年、和歌山線の橋本~和歌山間に無線式ATCを導入すると発表。2023年春に一部の列車に導入し、2024年春にはすべての列車への導入を完了させるとしていた。しかし導入時期が1年後に迫った今年2022年2月18日、近年の無線通信技術の「目覚ましい進歩」とこれまでの開発成果を踏まえるとして、導入計画を見直すと発表した。

無線式ATCは無線通信で列車の間隔を調整する保安装置。列車と地上設備のあいだで列車の位置情報を無線でやり取りする。これにより前方列車の位置を把握し、後方列車を自動的に適正な速度に減速させ、列車間の安全な間隔を確保する。JR西日本は2018年の時点では、無線式ATCの導入で運転支援機能の充実や地上設備のシンプル化を図れるなどのメリットがあるとしていた。

JR西日本は今後について「新しい技術を取り入れた無線による保安システムの導入を将来的に目指す」としている。詳細は明らかにしていないが、低コストの一般回線を活用する方式などを検討するとみられる。

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