和歌山の紀三井寺「ケーブルカー」3月末に完成へ 鉄道事業法の適用は?



紀三井寺(和歌山市)は参詣ルートのバリアフリー化を図るため、ケーブルカーの工事を行っている。同寺の開創1250年記念事業の一環。

紀三井寺が整備しているケーブルカーのイメージ。【画像:紀三井寺】

山麓の楼門下から山上の仏殿下までケーブルカーが新設される。これを利用して山上の停留所まで上り、遊歩道や既設のエレベーターを使うと、山麓から231段の石段などを通ることなく水平移動で本堂に到達できる。

ケーブルカーの線路・客車は日本ケーブル、山麓と山上の停留所は清水建設が整備。遊歩道の整備は赤土建設が担当する。整備費は信徒の寄進や寺有財産で拠出。観光庁の補助金も充当する。

紀三井寺によると3月末には完成の予定だが、運用の開始時期は未定。ケーブルカーの施設維持のため乗車料金を徴収する。料金などの詳細は運用開始前に案内するという。

久遠寺の斜行エレベーター。鉄道事業とはみなされていない。【撮影:草町義和】

山上にある寺社では信者の高齢化などを受け、ケーブルカーや斜行エレベーターなどのバリアフリー設備を整備することが増えている。鞍馬寺(京都市)のケーブルカーのように鉄道事業法に基づく鉄道事業として運営されているケースもあるが、大半は寺社の敷地内に整備されるため運送を行っているとはみなされず、鉄道事業法は通常適用されない。

国土交通省の近畿運輸局も、紀三井寺のケーブルカーについて「(鉄道事業法が適用される)鉄道事業にはあたらない」としている。

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