南海電鉄「係員付き自動運転」和歌山港線で実証試験 京三製作所と共同



南海電鉄は6月16日、和歌山港線・和歌山市~和歌山港の2.8kmで自動運転の実証試験を実施すると発表した。自動化レベル「GoA2.5(係員付き自動運転)」のシステム開発に向け、安全性の検証や課題の抽出を行う。

和歌山港線の和歌山港駅。【画像:呑み鐵/写真AC】

南海電鉄と信号機メーカーの京三製作所が共同で実証試験向けの各種設備を開発する計画。省エネ運転などによる二酸化炭素(CO2)排出量の削減も目指して開発を進める。

車両には自動列車運転装置を搭載するほか、自動運転を行う乗務員向けの操作表示部を新設。地上には信号機の表示内容や走行経路の情報などを車両の自動列車運転装置に伝達する設備を一部新設する。

南海電鉄が実証試験を行う自動運転システムのイメージ。【画像:南海電鉄・京三製作所】

南海電鉄と京三製作所は7月から準備を順次実施し、来年度2023年度から実証試験を行う予定。客が乗車する列車では実証試験を行わず、運転士が乗務した状態で自動運転の試運転車両を走らせる。

また、関係省庁や有識者で構成される第三者委員会を設置。自動運転を行うための各装置の機能や精度の確認のほか、安全性や安定性、異常時の取扱いなどについて検討・評価を行う。

南海電鉄が目指す係員付き自動運転は、運転士ではない係員が先頭車両の運転台に乗務。係員は前方に障害物を確認したときに緊急停止操作を行うほか、乗客の避難誘導なども行う。線路内に人や自動車が無断で進入するなど不意のトラブルに対応しやすく、踏切が多い既設路線などでも低コストで自動運転を導入できる。係員は必ずしも運転士と同等の技能を持つ必要がないため、養成コストの削減や養成期間の短縮などの効果も期待される。

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