東海道新幹線の車両「飯田線の駅舎」に再生 地元小学校の巨木をデザイン



JR東海は2月29日、飯田線の下地駅(愛知県豊橋市)で3月16日の始発から「東海道新幹線再生アルミ」を活用した新しい駅舎の使用を開始すると発表した。

飯田線の下地駅。【撮影:鉄道プレスネット(AT)】

東海道新幹線の電車で使われていたアルミニウムを再利用し、駅舎の建て替えや駅舎入口までの通路の整備を実施した。駅舎のガラス面は地元の豊橋市立下地小学校にあるイチョウの木をデザイン。この木は幹周約3m、高さ約12mで樹齢は150年以上と推定されており、「とよはしの巨木・名木100選」に選ばれている、

ほかにも線路設備で使用した枕木や既存駅舎などの解体で発生した材料を再利用。LED照明を採用して環境負荷の軽減に取り組んでいる。

下地駅は飯田線の船町~小坂井にある駅。この区間を含む豊橋~平井信号場は名鉄名古屋本線と線路を共用しており、下地駅もJR東海と名鉄の列車が通る。ただし名鉄の列車は通過し、下地駅にはJR東海の列車のみ停車する。

下地駅の新しい駅舎のイメージ。【画像:JR東海】
新駅舎の夜間イメージ。【画像:JR東海】
下地駅の従来の駅舎。【撮影:鉄道プレスネット(AT)】

JR東海は東海道新幹線の電車で使われていたアルミニウムを東海道新幹線再生アルミとしてリサイクルを推進している。2022年8月にオープンした東京駅の商業施設「東京ギフトパレット」では、700系電車のアルミを建材として使用した。昨年2023年10月には、スポーツ用品メーカーのミズノと協力してN700系電車や700系のアルミをリサイクルした野球バットを販売している。

JR東海などによると、アルミ製の新幹線車両のリサイクルはアルミに付着した塗装やボルトなどの除去が難しく、従来は鉄を作るときの添加剤などとして使われていた。JR東海グループは付着物を取り除いて高純度のアルミ合金を抽出する手法を開発して特許を取得。加工品の素材として使えるようにした。

東海道新幹線再生アルミは通常のアルミを新製する場合に比べ、製造時の二酸化炭素(CO2)排出量を97%削減し、環境への負荷を軽減できるという。

《関連記事》
飯田線「乗換新駅」より「既設駅連絡」優位 飯田市がリニア長野県駅の二次交通調査
JR東海「2024年3月16日ダイヤ改正」新幹線の増発や在来線の減便など