京急電鉄1500形「置き換え」開始へ 2022年度設備投資計画、ホームドア整備など



京急電鉄は5月11日、1500形を1000形に置き換える考えを示した。同日発表した2022年度の鉄道事業設備投資計画で、同年度以降に実施する取組の一つとして盛り込んだ。

京急電鉄の1500形。【撮影:草町義和】

1500形は37年前の1985年にデビューした通勤電車。1993年までに166両が製造された。導入時期によって車体の材質や制御方式が変化しており、当初は鋼製車体と界磁チョッパ制御を採用。その後、アルミ車体とVVVFインバーター制御に変わった。界磁チョッパ制御を採用した車両の一部も、のちにVVVFインバーター制御に更新されている。

1500形の置き換えは「省エネ車両への代替による使用電力量の削減」として位置付けられている。京急電鉄によると、2010年度に引退した旧1000形(抵抗制御)の使用電力量を100%とした場合、1500形(アルミ車体・界磁チョッパ制御)は67%。1000形(VVVFインバーター制御・ステンレス車体)は42%で、1500形(アルミ車体・界磁チョッパ制御)に比べ約37%の削減になるという。

置き換え対象の車両数や置き換えの開始時期、完了時期など具体的なスケジュールは明らかにしていない。

車種による使用電力量の違い。【画像:京急電鉄】

2022年度の鉄道事業設備投資計画は総額231億円。品川駅付近と大師線で連続立体交差事業(連立事業)を引き続き推進するほか、ホームドア設置工事などのバリアフリー化、ホーム上屋延伸や昇降機更新などの駅改良工事、照明設備のLED化やエレベーター・エスカレーターの更新などによる省エネ化を図る。

連立事業による線路の高架化で解消される品川~北品川間の踏切。【撮影:草町義和】

ホームドアは2021年度までに9駅に設置済み。2022年度と2023年度は梅屋敷・八丁畷・生麦・京急東神奈川・日ノ出町・弘明寺・杉田・金沢文庫・金沢八景・汐入の10駅で設置工事を進める。

車両については、1000形8両(4両編成2本)の車体更新を実施。ベビーカーの利用や大きなトランクを持った客に対応したフリースペースを設置するほか、非常通報装置の増設や窓の開閉化などを行う。1000形24両(8両編成2本と4両編成2本)でも機器更新を行い、車内案内表示器の液晶ディスプレイ化による多言語対応などを充実させる。

また、「羽田空港第1・第2ターミナル駅引上線新設工事の推進」と「泉岳寺駅改良工事」「非対面型駅窓口の拡大」を「将来の成長に向けた投資」として盛り込んだ。

羽田空港第1・第2ターミナル駅引上線の工事は国土交通省と協力して推進。泉岳寺駅では東京都が行う市街地再開発事業を連携し、ホームの拡幅やコンコースの拡張、昇降施設・出入口などの機能強化を目指す。駅務機器の遠隔操作とカメラ付き通話システムによる非対面型駅窓口は2022年度、8駅に導入する予定だ。

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