JR東日本は4月21日、山手線・京浜東北線の田町～高輪ゲートウェイ間の西側再開発エリア「高輪ゲートウェイシティ（仮称）」（東京都港区）について、まちづくりの概要を発表した。高級ホテルなどが入る複合施設の高層ビルや文化施設を整備し、2025年3月に一部がオープンする。
高輪ゲートウェイシティは田町方面から高輪ゲートウェイ駅にかけ四つの街区に分け、田町寄りの「1～3街区」に「住宅棟」「文化創造棟」「複合棟2」を整備。高輪ゲートウェイ駅周辺の「4街区」には「複合棟1」を整備する。区域名と建物名はいずれも仮称。
複合棟1は29～30階建ての「North」と「South」の2棟。国際交流拠点と位置付け、MICE施設（コンベンション・カンファレンス・ビジネス支援施設）やオフィス、商業施設などを設ける。「South」の22～30階には高級ホテルが入り、マリオット・インターナショナル（米国）のホテルブランド「JWマリオット」が東京圏に初めて進出する。また、高輪ゲートウェイ駅周辺には広場や歩行者デッキなどを整備する。
複合棟2は31階建てで京急線・都営浅草線の泉岳寺駅に隣接。オフィスや商業施設、クリニック、フィットネスを設ける。
文化創造棟は公園と一体となった6階建ての低層建物。街のシンボルとなる施設と位置付け、展示施設やホールなどを設ける。JR宇都宮線・烏山線の宝積寺駅舎などを手がけた建築家の隈研吾さんがデザインし、緑と木によって形作られたスパイラルで日本の四季を表現するという。
住宅棟は44階建て。外国人ビジネスワーカーにも対応した住宅施設と位置付け、低層部にはインターナショナルスクールなどを設ける。
複合棟1と高輪ゲートウェイ駅周辺は2025年3月に全面オープンの予定。複合棟2・文化創造棟・住宅棟と各棟周辺エリアは2025年度中にオープンする予定だ。
各棟の概要は次の通り。
●複合棟1
区域：4街区
敷地面積：3万8281.26平方m
延床面積：46万0177.37平方m
高さ：161.43m（North）、158.68m（South）
階数：地上29階（Southは地上30階）・地下3階
主用途：オフィス・ホテル・商業・コンベンション・カンファレンス・子育支援施設・ビジネス支援施設・駐車場等
●複合棟2
区域：3街区
敷地面積：1万4996.38平方m
延床面積：20万8164.26平方m
高さ：166.86m
階数：地上31階・地下5階
主用途：オフィス・商業・フィットネス・クリニック・子育支援施設・エネルギーセンター（地域冷暖房）・駐車場等
●文化創造棟
区域：2街区
敷地面積：7977.31平方m
延床面積：2万8952.55平方m
高さ：44.98m
階数：地上6階・地下3階
主用途：展示場・ホール・飲食施設・駐車場等
●住宅棟
区域：1街区
敷地面積：1万2705.97平方m
延床面積：14万8294.34平方m
高さ：172.12m
階数：地上44階・地下2階
主用途：住宅・インターナショナルスクール・商業・駐車場等
高輪ゲートウェイシティは、上野東京ラインの整備に伴う車両基地の縮小により捻出された再開発エリア。2020年3月に高輪ゲートウェイ駅が暫定開業した。これに先立つ工事中の2019年、日本初の本格的な鉄道である新橋～横浜間（1872年開業）の鉄道用として建設された石積みの路盤（高輪築堤）などが出土し、JR東日本は再開発計画の変更を迫られた。
同社は2021年4月、2街区北側（約40m）と3街区西側（約80m）の2カ所で高輪築堤を現地保存し、それ以外は移築保存か撤去する計画を発表。日本考古学協会は現地での全面保存を求め、JR東日本の計画に反対した。国は2021年8月の文化審議会答申を受け、高輪築堤を国の史跡に指定。同年11月には3街区の都市計画変更が決定し、3街区複合棟2の建設位置を東側にずらして第7橋梁部を含む高輪築堤の保存空間が確保された。
今回発表されたまちづくりの概要でも、現地保存は2街区の文化創造棟北側と3街区の複合棟2西側の2カ所で、従来の計画から大きな変更はない。JR東日本は高輪築堤の保存・活用方法の検討を進めるほか、高輪築堤が使われていた当時の景観を体験できる展示などを通じてまちづくりとの両立を図るとしている。
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