沖縄鉄軌道「新幹線の法律」参考に特例制度など調査検討へ 新・沖縄振興基本方針



内閣府の沖縄振興審議会は4月13日、沖縄振興策の今後10年間の方向性をまとめた「沖縄振興基本方針」を了承した。交通関係では鉄軌道構想の調査・検討などが盛り込まれた。

全国新幹線鉄道整備法に基づき建設された整備新幹線の北海道新幹線。【撮影:草町義和】

基本方針によると、沖縄本島の中南部で慢性的な交通渋滞が発生しており、物流・観光などの分野に影響しているいう。こうしたことから基本方針は、沖縄本島の骨格を形成する道路や渋滞が激しい那覇都市圏の環状道路・放射道路など「体系的な幹線道路ネットワークの整備の推進」が必要としたほか、自動車と公共交通などの結節機能の向上などを盛り込んだ。

鉄道や軌道などの公共交通機関の整備については「関連する技術の進歩の状況や既存の公共交通との関係、まちづくりとの連携等にも留意しつつ、全国新幹線鉄道整備法を参考とした特例制度を含め調査及び検討を進め、その結果を踏まえて一定の方向を取りまとめ、所要の措置を講ずる」とした。

沖縄振興基本方針は2012年、沖縄振興特別措置法に基づき初めて策定された。同法の期限を10年延長する改正法が3月31日に開かれた参議院本会議で全会一致で可決され成立したことを受け、10年後の2032年までの沖縄振興策の方向性や重点分野をまとめた新しい基本方針が策定された。

沖縄鉄軌道の内閣府2020年度調査でのモデルルート。【画像:国土地理院地図、加工:鉄道プレスネット】

沖縄本島の鉄軌道構想は、糸満市~那覇市~名護市などのルートを基本に国や沖縄県が調査・検討を続けているが、採算性の確保などが課題になっている。2012年策定の基本方針では「鉄道、軌道その他の公共交通機関の整備の在り方についての調査及び検討を進め、その結果を踏まえて一定の方向を取りまとめ、所要の措置を講ずる」とされたが、鉄軌道はこの10年間で一定の方向性が示されないまま推移した。

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