越後線「上所駅」いつ・どこに開業? 「混雑率2位」の新潟で動き出した新駅構想



越後線の白山~新潟間にある信濃川橋りょう。この川の南岸(写真奥)に上所駅の構想がある。【撮影:草町義和】

7月に国土交通省が発表した都市鉄道の混雑率調査結果で、混雑率が全国ワースト2位に急浮上した新潟市内の鉄道(信越本線・新津→新潟、135%)。コロナ禍で大都市圏の混雑が大幅に緩和された一方、新潟など地方都市圏の混雑率がそれほど下がらなかったため、結果的に順位が上昇したものだが、それでも地方都市のなかでは混雑率が高い。

その新潟市内では複数の新駅構想がある。なかでも実現に向けて大きく動き出しているのが上所(かみところ)駅(仮称、中央区)だ。

上所駅は越後線・白山~新潟間の新駅構想。現在の案によると、実際は上所に隣接する下所島(しもところじま)に設けられる。隣接駅からの距離は、白山駅から約1.6km、新潟駅から約1.5km。新潟県道164号(西跨線橋)の西側にある、越後線の線路をくぐる地下横断歩道付近が予定地だ。この地下道を活用する形で相対式ホーム2面2線の駅を設ける。

駅予定地の周辺エリアには新潟南高校や福祉施設の新潟ユニゾンプラザ、新潟中央卸売市場の跡地を再開発したテーマタウンがあり、それらへのアクセス向上が考えられる。

ちなみにJR東日本の初乗り運賃(~3km)は幹線・地方交通線ともに150円(IC147円)だが、新潟駅に隣接する越後石山・白山・東新潟の3駅はいずれも新潟駅からの距離が3kmを超えており(3.1~5.0km)、初乗り運賃では利用できない。もし上所駅が開業すると、新潟駅から初乗り運賃で利用できる駅が誕生することになる。

上所駅の位置。【画像:国土地理院地形図、加工:鉄道プレスネット編集部】

上所駅の構想は遅くとも新潟県庁の移転工事が進んでいた1984年に浮上。1991年の新潟都市圏パーソントリップ調査報告で同駅が必要とされた。その後も新潟ユニゾンプラザが1996年に開館するなどして新駅の構想が何度か議論されたものの、具体化には至らなかった。

一方、上所の新潟中央卸売市場が2007年に移転し、のちにテーマタウンを跡地に整備する構想が浮上したのを機に上所駅も具体化に向けて動き出した。新潟市は2017年度、新駅設置の検討を含む連携協定をJR東日本と締結。2018年度に需要予測調査を行った結果、1日約2300人の利用が見込めるとして採算性が確保されると判断した。

2019年度は、信濃川の南岸(上所)から越後線・新潟県道164号(西跨線橋)の交差地点(下所島)までの約600mを対象に現地測量調査を実施。2000年の時点ではユニゾンプラザ脇、旧中央卸売市場に近いカーブ区間、西跨線橋西側の地下横断歩道付近の3カ所が予定地の候補として挙がっていたが、新潟市によると線路のカーブや勾配、埋設管などの支障要因を確認して設置条件を整理した結果、地下横断歩道付近を新駅の予定地にしたという。

2020年度以降は新型コロナウイルスの影響を受け、JR東日本との協議や作業が遅れている。当初は2020年度内に完了するはずだった概略設計も遅れており、本年度2021年度後半に完了する予定。新潟市は2023年度末の開業を目指しているが、ずれ込む可能性もあるとしている。

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