【データで見る鉄道車両】JR東日本「FV-E991系」水素燃料電池で走る試験車



FV-E991系はJR東日本が開発した試験車。同社は将来のエネルギーの多様化を見据え、水素を活用した燃料電池車両の開発を行うことを計画し、燃料電池装置を主電源とするハイブリッドシステムを搭載した試験車両としてFV-E991系を新造した。愛称は「HYdrogen-HYBrid Advanced Rail vehicle for Innovation」を略して「HYBARI(ひばり)」。日立製作所・トヨタ自動車と連携して開発した。

制御電動車(1号車:FV-E991形)と制御車(2号車:FV-E990形)の2両編成。1号車に電力変換装置や主回路用蓄電地、2号車に水素貯蔵ユニットや燃料電池装置を搭載する。架線から電気の供給を受けるための集電装置はないが、法手続上は直流電車だ。

2022年3月下旬から南武線・川崎~登戸間と南武線尻手支線、鶴見線で試験走行し、技術検証を行う。

手続き

2021年11月15日|JR東日本:車両確認申請
2022年2月3日|国土交通大臣:車両確認

主要諸元

※2021年11月15日時点

●FV-E991形(1号車)
車種|普通鉄道 特殊車(試験車) 直流電車(制御電動車)(燃料電池式)
記号番号|FV-E991-0
空車重量|39.2t
定員|133人(座席定員48人)
車両設計最高速度|100km/h
最大寸法(長さ×幅×高さ)|20000×2880×4016.5mm
主回路用蓄電池|
・種類:リチウムイオン電池
・容量:240kWh
主電動機|
・種類:三相誘導電動機
・一時間定格出力:95kW
・個数:4個
台車形式|DT960(前位)・DT960A(後位)
駆動方式|
・種類:平行カルダン方式
・歯車比:1:7.07
制御方式|可変電圧可変周波数制御(回生ブレーキ付)
ブレーキ装置の種類|回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ(応荷重機能付)・直通予備ブレーキ・抑速ブレーキ・耐雪ブレーキ
連結器の種類|密着連結器・半永久連結器
運転保安設備の種類|自動列車停止装置(ATS-P形・ATS-SN形)・デジタル列車無線及び防護無線・EB装置及びTE装置

FV-E991形の形式図。試験車だが車内はロングシートを配した旅客車と同じだ。【資料:国土交通省】

●FV-E990形(2号車)
車種|普通鉄道 特殊車(試験車) 直流電車(制御車)
記号番号|FV-E990-0
空車重量|37.3t
定員|133人(座席定員48人)
車両設計最高速度|100km/h
最大寸法(長さ×幅×高さ)|20000×2880×4065mm
台車形式|TR919(前位)・TR919A(後位)
燃料電池装置|
・容量:240kWh
制御方式|可変電圧可変周波数制御(回生ブレーキ付)
ブレーキ装置の種類|回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ(応荷重機能付)・直通予備ブレーキ・抑速ブレーキ・耐雪ブレーキ
連結器の種類|密着連結器・半永久連結器
運転保安設備の種類|自動列車停止装置(ATS-P形・ATS-SN形)・デジタル列車無線及び防護無線・EB装置及びTE装置

FV-E990形の形式図。屋根上に水素貯蔵ユニットが見える。【資料:国土交通省】

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