東北新幹線の全線再開めど立たず 在来線・航空・バスで迂回ルートを確保



3月16日夜に発生した福島県沖を震源とする地震の影響で運転を見合わせた東日本の鉄道各線は順次再開している。一方で東北新幹線など列車の脱線や土木構造物の損傷が発生した路線もあり、復旧・再開のめどは立っていない。

白新線・羽越本線の特急「いなほ」。【撮影:草町義和】

JR東日本が3月18日15時30分時点の情報として発表したところによると、東北新幹線は3月21日まで那須塩原~盛岡間で運休する計画。東京~那須塩原間と盛岡~新青森間は臨時ダイヤによる折り返し運転が行われており、一部の区間で速度規制が実施されている。山形新幹線と秋田新幹線は東北新幹線への直通運転を中止。上越新幹線と北陸新幹線は通常通り運行している。

東北新幹線は福島駅の壁面で駅設備が破損。「やまびこ223号」が脱線した福島~白石蔵王間では、高架橋の根元が損壊し軌道にゆがみが生じるなど甚大な被害が発生している。ほかにも架線の断線や電柱の損傷などが確認されている。同線の3月22日以降の運転計画についてJR東日本は3月21日に改めて案内するとしているが、被害状況の全貌は明らかになっておらず、3月中の全線再開は厳しい状況だ。

軌道にゆがみが生じた東北新幹線の線路。【画像:JR東日本】

JR東日本は迂回ルート確保のため、白新線・羽越本線の新潟~酒田間で運行している特急「いなほ5・10号」について、酒田~秋田間を臨時快速列車として延長運転を実施している。運行時刻は「5号」が新潟12時32分→酒田14時43分→秋田16時07分、「10号」が秋田13時00分→酒田14時31分→新潟16時37分。延長運転区間の普通車は全車自由席になる。在来線でも東北本線の那須塩原~仙台間で臨時快速を運行するなど、迂回ルートの確保を図る。

このほか、JR東日本は航空会社やバス会社にも協力を要請。日本航空と全日空は東京(羽田)~福島・仙台・山形間で臨時便を設定したほか、東京(羽田)~青森便で機材の大型化を図る。バス各社は関東と東北を結ぶ高速バスを増発したり、コロナ禍で運休中だった高速バスの運転を再開したりしている。

JR在来線は常磐線の広野~山下間で運転の見合わせが続く。国土交通省によると、日立木駅構内でホームの笠石が崩落。原ノ町~鹿島間では真野川橋梁の土木構造物が損傷した。JR以外では阿武隈急行線の瀬上~向瀬上間で道床が流出し、全線で運転を見合わせている。

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