松浦鉄道「初乗り200円」に 運賃値上げ申請、特定運賃も



西九州線(佐賀県・長崎県)を運営する松浦鉄道は5月29日、国土交通省の九州運輸局長に旅客運賃上限変更認可を申請した。認可された場合、松浦鉄道は10月1日に運賃を改定して値上げする。改定率は全体の平均で18.3%。

松浦鉄道の列車。【画像:京翔九彩/写真AC】

普通旅客運賃の上限は初乗り(1kmまで)が現行170円に対し30円値上げの200円。10~11kmは現行410円から80円値上げの490円になる。90~94kmは現行2600円から490円値上げの3090円。

定期旅客運賃(1カ月)の上限は通勤の場合、1kmまでが1120円値上げの7440円、10~11kmが3060円値上げの1万8230円、90~94kmが1万8550円値上げの11万4950円。通学は1kmまでが770円値上げの5160円、10~11kmが2130円値上げの1万2650円、90~94kmが7710円値上げの4万7710円になる。

松浦鉄道は認可後、上限の範囲内で実際に客から徴収する運賃(実施運賃)を届け出る予定。現在は一部の区間で上限運賃より安い特定運賃を設定しており、特定運賃の値上げも行う。

おもな区間の普通旅客運賃(実施運賃ベース)は、有田~伊万里が90円値上げの550円、佐世保~泉福寺が40円値上げの270円、佐世保~大学が70円値上げの460円、佐世保~佐々が100円値上げの650円になる。

おもな区間の上限運賃と実施運賃。【画像:松浦鉄道】

西九州線は北松浦半島を回る鉄道路線。もとは国鉄・JRの松浦線だったが、1988年に第三セクターの松浦鉄道が経営を引き継いだ。松浦鉄道や九州運輸局によると、2010年度から2019年度までの10年間は定期以外の利用が堅調に推移した一方、沿線高校の通学生が減少。これに加えてコロナ禍による利用者の減少で収益状況が悪化している。

一方で燃料費の高止まりや資材価格の上昇傾向に加えて運転士を中心とした人材不足もあり、人材確保のため人件費の引き上げが必要に。松浦鉄道は収支改善のため運賃改定を決めたという。

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