大分県「東九州新幹線」シンポジウムのアンケート結果を公表 日豊ルートの新幹線



大分県は2月28日までに、東九州新幹線をテーマにしたシンポジウムの参加者を対象にしたアンケート調査結果を公表した。

東九州新幹線の駅のイメージ。【撮影:草町義和、加工:鉄道プレスネット】

シンポジウムは昨年2021年11月、大分県などで構成される大分県東九州新幹線整備推進期成会が大分市内で開催。約110人が参加した。東九州新幹線について「よく知っていた」と回答したのは44%で、これに「知っていたが詳しい内容は知らなかった」(41%)、「知らなかった」(15%)が続いた。

新幹線の必要性については「必要」「どちらかと言えば必要」と回答した人が92%を占めた。一方で推進団体が主催したシンポジウムながら「不要」「どちらかと言えば不要」と回答した人も8%いた。

「必要」「どちらかと言えば必要」と回答した人から東九州新幹線に期待すること(複数回答)を尋ねたところ、移動時間の短縮を挙げた人が63人で最も多く、これに「観光誘客」(51人)や「経済の活性化」(49人)などが続いた。

「不要」「どちらかと言えば不要」の回答者は、その理由(複数回答)として「整備費用が大きい」(4人)や「並行在来線(新幹線の整備で経営分離される可能性)」(2人)などを挙げた。

東九州新幹線は福岡市から大分市付近、宮崎市付近を経由して鹿児島市に至る新幹線の構想。おもに日豊本線が並行在来線になる。1973年、全国新幹線鉄道整備法に基づき基本計画が決定したが、オイルショックの影響などを受け具体化は見送られた。現在も膨大な建設費などの課題を抱えており、整備計画への格上げのめども立っていない。

大分県東九州新幹線整備推進期成会が2016年3月にまとめた調査報告書によると、建設区間は山陽新幹線の小倉駅と九州新幹線(鹿児島ルート)の鹿児島中央駅を結ぶ380kmを想定。博多~小倉間は山陽新幹線との共用区間としている。

大分県の調査による東九州新幹線の想定ルート(赤)。【画像:国土地理院地図、加工:鉄道プレスネット】

所要時間は小倉~鹿児島中央間が1時間48分で、現在の山陽・九州新幹線「みずほ」より10分ほど長い。一方、小倉~大分間は現在の在来線特急より52分短い31分、大分~宮崎間は在来線特急より2時間21分短い48分とした。

整備費用の総額は2兆6730億円と推計。事業の社会的効果を示す指標の費用便益比(B/C)は国の人口推計を基にした場合に1.07で、社会的効果が整備にかかる費用を上回るとしている。

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