長崎本線の鹿島・太良地域「新駅」検討へ 佐賀県知事「県の関与深まるので」



西九州新幹線・武雄温泉~長崎の開業(9月23日)にあわせ上下分離方式に移行する長崎本線・肥前山口~諫早(佐賀県・長崎県)について、佐賀県の山口祥義知事は鹿島・太良地域への新駅の設置を検討する考えを明らかにした。

上下分離区間内の肥前鹿島駅。【撮影:草町義和】

6月15日の県議会定例会で、太良町内にある太良高校付近への新駅(肥前飯田~多良)の整備を求めている坂口祐樹議員(自民党)の質問に答えた。山口知事は「上下分離後は県の関与も深まるので、鉄道の利活用や利便性の確保について積極的に関与し、鹿島・太良地域の振興に取り組んでいきたい」と述べ、そのうえで「何をどのように行っていくのか、新駅の設置も含め、さまざまな可能性について検討していきたいと考えている」と話した。

西九州新幹線・武雄温泉~長崎の計画では長崎本線・肥前山口~諫早が同新幹線の並行在来線とされ、当初はほかの整備新幹線と同様、JR九州からの経営分離が考えられていた。1996年には佐賀県・長崎県・JR九州の3者が第三セクター化による経営分離で合意。その際、現在の16駅に加え約10カ所の新駅を設置するなど利便性向上案を盛り込んでいた。

しかし鹿島市など沿線自治体が経営分離に強く反対したことから、JR九州が引き続き列車を運行することで沿線自治体の合意が不要になる上下分離方式が浮上。2007年には上下分離方式の導入で3者が合意したが、三セク化案に盛り込まれていた新駅設置の方針は事実上白紙化された。

太良高校付近の新駅は同高の改編を機に2010年頃から設置を求める運動が活発化。JR九州は利用者数の確保に課題があるほか、高校前の線路が急カーブでホームの設置が難しいなどとして難色を示している。

上下分離方式に移行する長崎本線・肥前山口(江北)~諫早(青)。【画像:国土地理院地図、加工:鉄道プレスネット】

肥前山口~諫早は今年2022年9月23日、上下分離方式に移行する予定。佐賀県と長崎県が設立した一般社団法人の佐賀・長崎鉄道管理センターが線路施設を保有し、JR九州は同センターから線路施設を借り入れて引き続き列車を運行する。同時に肥前山口駅が江北駅に改称される。

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