西武所沢駅西口の商業施設「2024年9月」オープン 「もと車両工場」伝える施設も



西武リアルティソリューションズと住友商事は4月18日、西武鉄道の所沢車両工場跡地(埼玉県所沢市)を中心とした再開発計画(所沢駅西口開発計画)について、商業施設の名称が「エミテラス所沢」に決まったと発表した。9月にオープンする。

所沢車両工場で製造された101系電車。【撮影:草町義和】

エミテラス所沢は敷地面積が約3万4000平方mで延床面積は約12万9000平方m。地上7階で高さは最高37.4mになる。店舗数は142店舗。このうち139店舗の出店が決まっている。キーテナントは11店舗が公表済みだったが、新たにユニクロ(ファッション・ファッション雑貨)が加わり12店舗になる。事業費は約295億円。

工事が終盤を迎えているエミテラス所沢の外観(2024年4月10日)。【画像:西武リアルティソリューションズ・住友商事】
エミテラス所沢の鳥瞰(ちょうかん)イメージ。【画像:西武リアルティソリューションズ・住友商事】

このほか、西武線の所沢駅と所沢車両工場を結んでいた線路があった場所の一部にレールを設置。エミテラス所沢の新しいシンボルとして所沢車両工場の事績を伝える。また、乗務員の養成・訓練で実際に使用していた運転シミュレーターの一部を設置。2000系電車を模したもので、エミテラス所沢の設置に際してはシミュレーターとしての機能は設けない。これ以外にも車両工場の跡地の歴史を示す「レガシー」の設置を検討しているという。

2000系を模した運転シミュレーター。【画像:西武リアルティソリューションズ・住友商事】

名称は西武グループのスローガン「でかける人を、ほほえむ人へ。」の「ほほえみ」の「Emi(エミ)」と、住友商事グループが商業施設を開発するうえで大切にしているという「居心地の良さ」を象徴する「Terrace(テラス)」を組み合わせた。

所沢車両工場は所沢駅の西側にあった西武鉄道の車両工場。戦後の1946年、旧陸軍の立川航空工廠所沢支廠の土地と建物を借り受けて開設された。鉄道車両の定期検査や修繕などに加え、1954年からは西武鉄道が使用する車両の製造も行っていた。

所沢駅と所沢車両基地を結んでいた線路。【画像:西武リアルティソリューションズ・住友商事】

当初は復興社(現在の西武建設)の工場だったが、1973年の組織改編で西武鉄道の直営工場に。鉄道会社が鉄道車両を導入する際は車両メーカーから購入するのが一般的だが、自社で製造するのは珍しく、1200両以上が製造された。1999年、9000系電車の製造をもって製造業務を終了。定期検査も武蔵丘車両検修場に機能移転し、2000年に閉鎖された。

跡地の再開発計画は土壌汚染などの影響で進展しなかったが、2015年に土地区画整理事業として認可。2022年10月に所沢駅西口開発計画として着工した。

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