福島交通飯坂線「2割値上げ」運賃改定を申請、400円台の区間も



福島交通は3月10日、鉄道旅客運賃の上限変更認可を国土交通省の東北運輸局長に申請した。認可された場合、福島交通は5月17日に飯坂線の運賃を改定し、平均で約2割値上げする。運賃改定は消費税率の引き上げによるものを除くと1992年11月以来、約32年ぶり。

飯坂線の電車。【画像:からのち/写真AC】

普通旅客運賃の上限は初乗り(2kmまで)が現行150円のところ30円値上げの180円。7km超の区間は現行340~370円のところ400~430円に値上げし、初めて400円台になる。定期旅客運賃の上限は1カ月・大人の場合、4km超~5kmまでの区間で通勤定期が2080円値上げの1万920円。通学は810円値上げの6720円になる。福島交通は普通・定期旅客運賃ともに、実際に設定する運賃は上限額と同額にする方針。

普通旅客運賃の現行運賃と申請運賃。【画像:福島交通】
定期旅客運賃(1カ月・大人)の現行運賃と申請運賃。【画像:福島交通】

福島交通によると、飯坂線の輸送人員は2016~2019年度で約240万人。2021年度はコロナ禍の影響で172万人まで減少した。2023年度は197万人まで回復したがコロナ禍前の水準には及ばす「戻り止まり」の状況が続いている。一方で老朽化した施設の更新が今後も必要な状況。動力費や人件費などの高騰もあり、現在の運賃水準を維持するのは困難と判断した。

鉄道事業の収支は2024年度で4億4536万7000円の収入に対し経費は5億767万9000円で6231万3000円の赤字。2026~2028年度の3年間合計では現行運賃のままなら4億9322万8000円の赤字だが、運賃を改定した場合は赤字額を2億4757万8000円に抑えられる見込みという。

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