北総鉄道「値下げ」2022年10月 最大105円、通学定期は京成本線と「同額」に



北総鉄道と京成電鉄は11月19日、北総鉄道北総線と京成成田スカイアクセス線の旅客運賃改定を国土交通大臣に届け出た。来年2022年10月1日に運賃を値下げする。

北総線を走る列車。【撮影:草町義和】

普通運賃と通勤定期運賃は、北総線・成田スカイアクセス線の列車が同じ線路を走る京成高砂~印旛日本医大間で値下げする。

初乗り運賃(1~3km、切符210円・ICカード203円)は15~20円値下げして切符190円・ICカード188円に。それ以外の距離帯は中距離帯(12~14km)を中心に値下げし、値下げ幅は最大で切符100円・ICカード105円になる。

通勤定期運賃も普通運賃に準じた値下げが行われる。京成高砂~新鎌ケ谷間の場合、1カ月は現行2万4880円のところ4720円値下げして2万160円になる。

成田スカイアクセス線の列車のみ走る印旛日本医大~成田空港間は改定しない。また、印旛日本医大経由で運賃改定区間と改定しない区間をまたがって利用する場合(新鎌ケ谷~成田湯川間など)や、運賃改定区間を通過利用する場合(成田スカイアクセス線経由の京成上野~成田空港間など)も改定しない。

一方で通学定期運賃は、京成高砂~印旛日本医大~成田空港間の北総線・成田スカイアクセス線の全線を対象とし、6割以上の大幅な値下げを図る。

京成高砂~印西牧の原間の場合、1カ月(現行1万4990円)は1万円値下げして4990円に。6カ月(現行8万950円)は5万4000円安い2万6950円になる。京成高砂~成田湯川間の1カ月は現行2万2120円、改定後5240円で、1万6880円の値下げだ。空港第2ビル~成田空港間は従来通り京成本線に合わせた額(1カ月2230円)とする。

値下げ率は北総鉄道が平均15.4%で、定期外(定期以外の運賃)が11.6%、通勤定期が13.8%、通学定期が64.7%。京成電鉄は平均1.863%の値下げで、定期外0.964%、通勤定期10.144%、通学定期66.852%になる。

北総鉄道は今年2021年6月、累積赤字の解消のめどが立ったとして運賃の値下げを検討すると発表していた。

普通運賃は「線内移動」促進狙う

北総鉄道は東京都心方面と千葉ニュータウン方面を結ぶ全長32.3kmの北総線を運営。1979年から2000年にかけ開業したが、建設費の膨張や多額の累積債務を抱えていたこともあって高額な運賃が設定され、以前から運賃の値下げを求める声が大きかった。

普通運賃(切符)の場合、京成本線の京成上野~京成大久保間32.1kmは500円。これとほぼ同じ距離の北総線・成田スカイアクセス線の京成高砂~印旛日本大間は1.68倍の840円だ。通勤定期(1カ月)も京成上野~京成大久保間が1万9300円なのに対し、京成高砂~印旛日本大間は約1.85倍の3万5780円になっている。

今回発表された改定後の運賃額のうち、通学定期は京成電鉄の本線・東成田線・押上線・金町線・千葉線の通学定期と同額で設定されており、これにより大幅な値下げとなる。北総鉄道は「子育て世代への配慮や若い世代の入居促進に繋がるよう、家計への負担の大きい通学定期運賃については、大幅な値下げを行います」としている。若年層の沿線人口の増加を図り、少子高齢化による利用者の減少を抑制する狙いもあるとみられる。

一方、普通運賃の値下げ幅はそれほど大きくない。中距離帯の12~14kmでは100円の値下げになるが、それでも値下げ後の金額は480円で、京成本線のほぼ同じ距離帯の普通運賃(11~15km、260円)の1.7倍以上だ。さらに中距離帯以外では値下げ幅が小さくなるため、北総線全線の京成高砂~印旛日本医大間では20円の値下げにとどまる。

普通運賃に準じて値下げされる通勤定期運賃も同様で、1カ月の場合は12~14kmの距離帯で4720円値下げされるのに対し、30~33kmでは値下げ幅が1340円。12~14kmでも京成本線の同距離と1.9倍程度の開きがある。

中距離帯を中心に運賃を値下げすることについて、北総鉄道は「北総線内の移動を促進し、沿線全体の活性化に繋がるような運賃体系とします」としている。

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