大阪メトロ初の新型「400系」中央線に クロス席やUSB電源、自動運転実験にも対応



大阪メトロは12月9日、中央線に新型車両「400系」を導入すると発表した。2025年に開催される大阪万博に先立ち導入し、既存車両の置き換えを図る。2018年に大阪市営地下鉄の路線を引き継いだ大阪メトロが新型車両を導入するのは、これが初めて。

400系のイメージ。【画像:大阪メトロ】

先頭部はガラス張りの展望形状を採用。大阪メトロは「宇宙船を意識させる未来的デザイン」としている。車体の下部が隠れるホームドア設置駅でドアの位置が分かりやすくなるよう、ドア部は中央線のラインカラーである緑色を配色。車内のバリアフリー設備が近くにあるドアは青でデザインする。

車内は天井を「落ち着いた配色」とし、壁面と床面は明るくする。座席は機能に応じて色を使い分けるほか、背もたれを高くすることで座り心地を向上する。また、1編成につき1両はクロスシート車両とし、「目的地に向かって移動するワクワク感や、パーソナルスペースの確保による安心感」を提供するという。

車内のイメージ。【画像:大阪メトロ】
一部の車両にはクロスシートを設ける。【画像:大阪メトロ】

荷棚の高さは100mm下げて利用しやすくする。空気洗浄装置を全車両に取り付け、脱臭や除菌、PM2.5抑制、花粉・ダニなどアレルギー物質の抑制を図る。中づり広告は廃止し、車内の開放感を広げる。車内照明は車内デザインと調和したLED照明を採用するという。

車内案内装置は大阪メトロの車両としては最大となる21.5インチのワイド液晶ディスプレイを採用。2画面構成で乗換案内や駅設備案内などの情報を提供できるようにした。多言語対応は日本語・英語・中国語・韓国語の4か国語。

21.5インチ2画面構成の車内案内装置のイメージ。【画像:大阪メトロ】

先頭車にはモバイル用電源(USB)付きのカウンターを設置。防犯カメラをすべての車両に搭載し、非常時には乗務員室で映像を確認できるようにする。ドアの開閉時に荷物が挟まったり指などが引き込まれた場合に、ドアが開閉する力を一時的に弱めて容易に抜け出せるようにする。

USB電源付きカウンターのイメージ。【画像:大阪メトロ】

バリアフリー対策としては床の高さを40mm下げ、ホームとの段差を縮小。ドア部の床に黄色いラインを入れて乗降口を識別しやすくするほか、ドアの開閉をチャイムとドア上部のランプの点滅で知らせるようにする。また、開いているドアの位置を案内する誘導鈴も設置する。

空調装置には学習・予測制御を導入。走行時の車内温度や外気温度、乗車率などのデータを蓄積し、このデータを活用して車内環境に応じた最適な運転を行うという。車両の各装置や機器の動作状況を地上設備に常時送信するモニタリング機能を搭載。収集した情報を分析、活用することで効率的な車両保守や安全性の向上に取り組むという。

このほか、2024年度の実施が計画されている自動運転の実証実験に向け、指令所からの運行指令や情報伝達を行うデータ伝送機能なども設ける。

400系は2023年4月に運行開始の予定。6両編成23本が導入される計画だ。これにより中央線で現在運用されている20系と24系を置き換える。このうち24系は他路線への転用が考えられている。

400系の外装デザイン。近年のホームドア設置路線に導入されている車両と同様、ドア部に色を入れる。【画像:大阪メトロ】

大阪メトロの中央線は大阪市と東大阪市を東西に横断するコスモスクエア~長田間17.9kmの路線。長田駅で近鉄けいはんな線と接続して相互直通運転を行っている。このほか、コスモスクエア駅から大阪万博会場が設けられる人工島の夢洲まで北港テクノポート線(南ルート)が建設中。万博会場へのアクセス交通機関になる。

大阪メトロは400系について、大阪万博を契機に開発を進めた新世代車両と位置付けている。400系自体は既存車両の更新を目的とした車両のため、万博開催期間中の輸送力確保は既存車両の改良型である30000A系を中央線に導入することで対応。万博後は30000A系を谷町線に転属させる計画だ。

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