大雨被災「幻の大間鉄道」赤川アーチ橋を解体へ 下風呂では橋脚が流失



8月9日からの大雨の影響で土砂崩れが相次ぎ道路が寸断されるなど甚大な被害が発生している下北半島の青森県むつ市で、「幻の大間鉄道」と呼ばれている国鉄大間線の遺構が解体されることになった。

赤川に残る大間線のコンクリートアーチ橋(左)。大量の流木を撤去するための作業スペースを確保するため解体される。【画像:防衛省】

解体されるのは、むつ市大畑町赤川村に残る大間線のコンクリートアーチ橋。この橋自体に大きな被害はなかった模様だが、脇を通る小赤川に大量の流木がたまった。流木の撤去作業で使う重機を入れたり、撤去した流木を仮置きしたりするための作業スペースを確保するため、アーチ橋が解体されることになった。

むつ市に隣接する風間浦村でも甚大な被害が発生しており、下風呂地区に残っていた大間線の遺構も一部の橋りょうが流失した。足湯付きの遊歩道として再整備された下風呂温泉のアーチ橋「メモリアルロード」は大きな被害がなかったとみられる。

大間線のコンクリートアーチ橋を再整備した下風呂温泉の足湯付き遊歩道「メモリアルロード」は大きな被害がなかった模様。【撮影:草町義和】

大間線は現在のJR大湊線の下北駅(むつ市)と下北半島北端の大間町を結ぶ計画だった国鉄線。1937年から工事が始まり、下北~大畑間が大畑線として1939年に開業した。残る大畑~大間間の工事も進められたが、戦時中の1943年に資材不足のため工事が中止され、幻に終わった。

大畑線として開業した区間は1985年に地元バス会社の下北交通が運営を引き継いだが、2001年に廃止された。未成区間の大畑~大間間は一部の路盤が国道279号の建設用地に転用されたが、いまも橋りょうやトンネルなどの遺構が多数残っている。赤川のコンクリートアーチ橋は3連残っていたが1981年に2連解体され、1連だけ残っていた。

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