羽越の観光列車「海里」只見線に初乗り入れ 「全通50周年」記念、一部区間だけ走行



通常は羽越本線で運行されている「海里」【画像:Rsa/wikimedia.org/CC BY-SA 3.0】

JR東日本は6月18日、只見線(福島県・新潟県)の全通50周年を記念した旅行商品専用列車「只見海里」を8月29日に運行すると発表した。

運行区間は新潟~只見間(信越本線・上越線・只見線経由)で、時刻は往路が新潟7時11分発→只見10時32分着、復路が13時20分発→新潟16時00分着の予定だ。車両は観光列車「海里」のHB-E300系ハイブリッド気動車を使用する。

「只見海里」を利用する旅行商品は、びゅうトラベルサービスや阪急交通社新潟支店、タビックスジャパン(新潟支店)が発売中。びゅうトラベルサービスが企画した首都圏発着の団体型旅行商品の場合、旅行代金は大人1人1室、1泊車内2食付きで5万6800円になる。

「海里」のHB-E300系は通常、白新線・羽越本線の新潟~酒田間で運行されており、只見線に乗り入れるのは初めてだ。

只見線は会津若松~只見間の135.2kmを結ぶJR東日本のローカル線。福島県と新潟県のあいだに広がる渓谷地帯を通る。1971年8月29日に全通した。

沿線は人口が少なく、只見線の利用者も少ない。1日1kmの平均通過人員は2010年度で370人だった。全通40周年を迎えた直後の2011年7月30日、新潟・福島豪雨の影響で橋りょうが流出するなどの甚大な被害が発生。いまも中間の会津川口~只見間が不通だ。このため「只見海里」は全通50周年の記念列車ながら、只見線の一部区間しか運行できない。

会津川口~只見間は2016年、福島県と沿線自治体が施設を保有してJR東日本に貸し付ける上下分離方式で復旧することが決まり、2018年に起工式が行われた。2021年度中の運行再開を目指していたが、想定より地質の悪い部分があることが判明したことから工事が遅れており、現在は2022年度の再開を目指している。

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