半蔵門線「18000系」と有副線「17000系」の違いは? 見た目だけではない



半蔵門線18000系(左)と有副線17000系(右)。【撮影:鉄道プレスネット編集部】

6月2日に報道公開された、東京メトロ半蔵門線の新型車両「18000系電車」。昨年2020年10月、最初に完成した第18101編成が搬入され、翌11月から走行安全性や制御・ブレーキなどの各種性能試験が実施された。今年2021年6月からは乗務員訓練も始まり、営業時間帯の訓練運転が見られるようになる。営業運転でのデビューは8月の予定だ。

18000系は半蔵門線を走る既存の8000系電車や08系電車に比べ、座席幅の拡大やバリアフリーの向上、電力消費量の削減など、さまざまな部分で改善が図られている。ただ、仕様や性能は2月に営業運転を開始した、有楽町線・副都心線(有副線)の17000系とほぼ同じだ。それもそのはず、17000系と18000系はほぼ同時に設計作業を開始(2017年8月)しており、さまざまな部分で共通化が図られている。

「いろんな紫」使った理由

とはいえ、まったく同じというわけではない。17000系とは異なる部分もある。外観上とくに目立つのが、車両の「顔」にあたる編成両端の先頭部の形状と、車体の色だ。

17000系の先頭部は、有副線で運用されている7000系電車や10000系電車をモチーフにしたデザインで、丸型のヘッドライトを採用。これに対して18000系は、半蔵門線の8000系と08系の「端正な表情」(東京メトロ)を受け継ぎ、直線的なデザインのヘッドライトが採用された。

18000系のライトは直線的。【撮影:鉄道プレスネット編集部】
17000系のライトは丸みを帯びている。【撮影:鉄道プレスネット編集部】

車体に使われている色は、半蔵門線のラインカラーに合わせたパープル(紫)。ただし8000系や08系とは色合いが異なり、さらに濃淡2色の紫を組み合わせている。車内のデザインも同様で、床から座席の座面と背もたれ、つり革まで、それぞれ濃度が異なるさまざまな紫を用いている。座席端部のガラス仕切りや貫通ドアのデザインも変更された。

18000系は半蔵門線のラインカラーにあわせた紫だが濃淡2色の組み合わせ。【撮影:鉄道プレスネット編集部】
18000系の車内も床から座席、つり革まで濃度の異なるさまざまな紫が用いられている。【撮影:鉄道プレスネット編集部】

17000系は有副線のラインカラーである黄色と茶色の2色を組み合わせている。【撮影:鉄道プレスネット編集部】
17000系の車内は座席の背もたれやつり革に有副線のラインカラーが採り入れられている。【撮影:鉄道プレスネット編集部】

先行デビューした17000系は、黄色と茶色の2色を使って車内外を装飾している。これは有楽町線(黄色)と副都心線(茶色)のラインカラーにあわせたもので、両線を走る車両であることを示している。この「法則」に従うのなら、半蔵門線を走る18000系は紫1色になるはずだ。

複数の紫を用いたことについて、東京メトロ車両部設計課の荻野智久課長は、取材に対し「利用者は『紫』に対しいろんなイメージを持っていると思う。いろんな人に利用してもらうため、いろんな紫を半蔵門線の車両に使ったら面白いと思った」と話した。

17000系より「減った」もの

車内外の見た目だけではない。車体のサイズも違う。17000系の車体幅は2800mm(車側灯間2848mm)だが、18000系は20mm狭い2780mm(車側灯間2828mm)となっている。18000系が走る路線は有副線より車両の走行スペースが狭い部分があり、それにあわせたためだ。

車内も17000系に比べわずかに狭いため、1両の定員は17000系より一人減った。先頭車は142人(17000系は143人)、中間車は153人(同154人)。座席のみの定員は17000系と同じで、先頭車が45人、中間車が51人となっている。

このほか、自動列車制御装置(ATC)や自動列車停止装置(ATS)などの保安装置も、18000系が走る路線の方式にあわせて変更されている。ちなみに18000系の自動列車運転装置(ATO)は「準備対応」としているが、運転台にはATOの自動運転ボタンが設置済みだ。

18000系の運転台。中央やや右下に二つの白い「ATO出発」ボタンが設置されている。【撮影:鉄道プレスネット編集部】

18000系の導入で8000系(右)は全車引退の予定。【撮影:鉄道プレスネット編集部】

18000系は2025年度までに全190両(10両編成19本)が導入される予定。同じ車両数で老朽化した8000系の全190両(10両編成19本)を置き換える。

18000系の主要諸元。【資料:東京メトロ】

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