川崎市が南武線高架化の手続き中断を検討へ 京急大師線地下化の工事着手も



高架化が計画されている区間内にある平間駅前の踏切。遮断時間が1時間あたり40分以上の「開かずの踏切」だ。【撮影:草町義和】

川崎市の福田紀彦市長は12月3日、JR南武線・矢向~武蔵小杉間4.5kmを高架化する連続立体交差事業(連立事業)について、本年度2020年度中に行う予定だった都市計画決定手続きを中断も含め検討する考えを明らかにした。

同日開かれた市議会定例会で、自民党の各務雅彦議員の質問に答えた。福田市長はコロナ禍による企業収益の悪化と、それに伴う税収不足を挙げ、「新型コロナウイルス感染症による社会経済状況を鑑みると、その影響の大きさについて見通しが立たない状況」とした。

そのうえで「長期に渡り財源や人的資源の面で負担が大きく、都市計画決定など重要な手続きを行われなければならない大規模投資事業は、今後の社会変容や市民ニーズの変化を踏まえた検討を行うため、時間を確保する必要がある」とし、都市計画決定の手続きを一時中断する方向で検討することを示唆した。

川崎市が本年度中の都市計画決定を目指した南武線・矢向~武蔵小杉間の連立事業の実施区域(赤)。【画像:国土地理院地図/加工:鉄道プレスネット編集部】

南武線の矢向~武蔵小杉間には踏切が9カ所にあり、そのすべてが「緊急対策踏切」に指定されている。遮断時間が1時間あたり40分以上の「開かずの踏切」もある。川崎市は連立事業による同区間の踏切解消を計画し、本年度中の都市計画決定と2021年度の事業認可を経て事業に着手する方針だった。都市計画決定が遅れれば事業着手も遅れる可能性が高くなる。

このほか、連立事業として地下化が計画された京急大師線・鈴木町~小島新田間は、1期マル1区間の東門前~小島新田間が2019年に完成。1期マル2区間は本年度中の工事着手が予定されたが、川崎市はこれも南武線と同様の理由から中断の検討対象とした。