和歌山~徳島を結ぶ「鉄道連絡船」2年後めどに廃止へ 南海フェリーが事業撤退



南海電鉄は3月30日、フェリー事業から撤退すると発表した。利用者の減少や燃料費の高騰などによる収益の悪化を受け、遅くとも2年後をめどに廃止するとみられる。

南海フェリーの「フェリーあい」。【画像:南海フェリー】

撤退するのは和歌山~徳島の61kmを結ぶフェリー事業。同社子会社の南海フェリーが運航している。南海電鉄によると、明石海峡大橋の開通で本州~四国の主要ルートが陸路に移行したのに加え、人口減少や少子高齢化に伴い利用者が減少。さらに2020年度以降のコロナ禍で収入の大幅な減少に追い打ちをかけた。

その一方、近年の燃料費の高騰で抜本的な収支改善には至っていない。また、現在運用している2隻のフェリーのうち1999年に就航した「フェリーかつらぎ」は老朽化のため船体更新の時期を迎えているが、財務的に厳しい状況。2019年に就航した「フェリーあい」1隻での運航継続も検討したが、効率的な運航と経営は不可能と判断し、フェリー事業からの撤退を決めたという。

南海電鉄と南海フェリーは、2028年3月末をめどにフェリー事業から撤退するとしている。ただし船舶や設備などの老朽化や従業員の確保など、安全運航に支障が生じる恐れのある場合は撤退時期を早める場合があるとしている。

南海フェリーの運航ルート(青点線)。【画像:OpenStreetMap、加工:鉄道プレスネット】

南海フェリーは1975年に設立。南海汽船が運営していた和歌山~小松島の航路を引き継ぐ形でフェリー航路の運航を開始した。和歌山港は南海本線の和歌山港駅に直結。小松島港も国鉄小松島港線の小松島港駅に直結しており、南海フェリーは南海本線と国鉄小松島港線を結ぶ鉄道連絡船として機能した。

1983年からは高速船の運航も開始。1985年には国鉄小松島港線が廃止されて小松島側はバス連絡に変わり、高速船は運航区間を和歌山~徳島に変更した。フェリーも1999年には運航区間が現在の和歌山~徳島に変わった。

利用者数は1995年度で約97万人だったが、1998年の明石海峡大橋の開通で減少。2002年に高速船が廃止され、2007年にはフェリーが3隻体制から2隻体制になるなど、事業としては縮小傾向だった。

南海電鉄によると、旅客数はコロナ禍が本格化する前の2019年度で41万4000人だったのに対し、コロナ禍の2020年度は19万5000人で大幅に減少。2024年度は35万7000人まで回復したが、コロナ禍前の水準には戻っていない。

営業損益も2019年度が7800万円の黒字だったのに対し2020年度が5億3200万円の赤字で2021年度は4億6200万円の赤字。2022年度と2023年度は黒字になったが、2024年度は900万円の赤字だった。2021年度以降は債務超過の状態が続いている。

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