国土交通省の九州運輸局長は1月27日、肥薩おれんじ鉄道などが申請していた鉄道事業再構築実施計画を認定した。いわゆる「みなし上下分離方式」の経営に移行し、経営の改善や活性化を図る。

実施計画の対象路線は、肥薩おれんじ鉄道が運営する肥薩おれんじ鉄道線。肥薩おれんじ鉄道と熊本県、鹿児島線、沿線7市町(八代市・水俣市・芦北町・津奈木町・阿久根市・出水市・薩摩川内市)が申請した。
肥薩おれんじ鉄道が引き続き第1種鉄道事業者として鉄道施設を保有して列車を運行するが、熊本県と鹿児島県、沿線7市町が鉄道施設・車両の維持修繕費と整備費を負担し、実質的に上下分離方式に近い運営体制に変える。10年間の事業費は合計252億5800万円を見込み、一部は国の社会資本整備総合交付金の活用を予定している。
また、おもな利便確保策として運転士の確保による運行本数の維持、キャッシュレス決済の導入拡大、レストラン列車「おれんじ食堂」を活用した企画列車の運行、自治体による通学定期券の購入費補助などを盛り込んでいる。
計画期間は2026年4月1日~2036年3月31日の10年間。計画の最終年度となる2035年度は再構築実施計画を実施しない場合、輸送人員が84万5000人で当期純損益が4700万円の赤字だが、実施した場合は輸送人員が91万4000人で2700万円の黒字を見込む。

肥薩おれんじ鉄道線は、熊本県と鹿児島県の県境部を含む八代~川内の116.0kmを結ぶ鉄道路線。かつてはJR鹿児島本線の一部だった。2004年、並行する九州新幹線・新八代~鹿児島中央の開業にあわせて第三セクターの肥薩おれんじ鉄道が経営を引き継いだ。
輸送密度は636人(2024年度)で厳しい経営が続いている。鹿児島県では、肥薩おれんじ鉄道線の沿線外や離島を含む県内全43市町村で構成される振興協会が経営支援を実施。この支援が2022年度末で期限切れを迎えた際、経営支援を5年間延長することになったが、その後は経営支援しないことになり、新たな公的支援の枠組みとしてみなし上下分離方式を導入することになった。
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