国土交通省は1月27日、阿武隈急行線(福島県・宮城県)の鉄道事業再構築実施計画を認定した。いわゆる「みなし上下分離方式」を導入して鉄道の存続を図る。

実施計画を申請したのは阿武隈急行線を運営する第三セクターの阿武隈急行に加え、福島県と宮城県、沿線3市2町(福島市・伊達市・角田市・柴田町・丸森町)。計画期間は2026年4月1日~2036年3月31日の10年間としている。
実施計画の概要によると、阿武隈急行が引き続き第1種鉄道事業者として鉄道の用地・敷地を保有し、列車を運行。ただし福島県・宮城県・沿線3市2町が鉄道施設・車両の整備費と維持修繕費を負担することで実質的に上下分離方式に近い運営形態とし、経常損失額も支援する。
利用者の利便向上策としては、交通・観光情報の多言語化やパーク&ライドの推進、利用者ニーズに応じたダイヤの見直し、乗り継ぎ方法の案内強化、キャッシュレスサービスの導入検討、車内への防犯カメラ設置などを盛り込んでいる。計画期間中の鉄道施設等整備・維持修繕事業費は合計170億3000万円。一部は社会資本整備総合交付金を活用する予定だ。

阿武隈急行線は福島~槻木の54.9kmを結ぶ単線電化の鉄道路線。1988年までに全線開業した。輸送密度は1993年度の2351人をピークに減少が続き、2024年度は1335人だった。こうしたことから2023年3月に沿線自治体などが検討会を設置。検討会は昨年2025年3月に鉄道事業再構築事業の実施による鉄道存続を提言していた。
国土交通省の東北運輸局によると、2035年度の年間利用者数は再構築事業を実施しなかった場合で162万3000人だが、再構築事業を実施した場合は1.2倍の195万8000人を見込む。2035年度の赤字額も再構築事業を実施しない場合は7億4100万円の赤字に対し、再構築事業の実施で6億5700万円の赤字に抑えられる見込みだ。
《関連記事》
・阿武隈急行線の宮城側「鉄道・BRT・バス」3案を検討、協議へ 知事「覚悟持てるか」
・会津鉄道「新しい観光列車」JR只見線でも運行 再構築計画が認定
・福島アプローチ線:福島駅付近(未来鉄道データベース)
