鹿児島市電の本港区エリアへの延伸構想について、鹿児島市は12月10日、事業費が従来の試算より大幅に増加する見込みであるとする認識を示した。

鹿児島市議会第4回定例会の本会議で山下要議員(自民党)の質問に対し、企画財政局の古河春美局長が答弁した。それによると、2012年度に設定した複数ルートの平均距離は約1.7kmで、概算事業費の平均は約47億円だった。これに基づき現行4ルート案(平均約2.6km)の概算事業費を推計した場合は約73億円だが、近年の建設資材や人件費の高騰を踏まえると大幅な増加が見込まれるという。
山下議員はこれに関連して、自走式ロープウェイ「Zippar」の調査・研究を行うことを提案。これに対して古河局長は「(Zipparは)現在、公道外における運行設備の技術基準の整備をめざし、試験運行を行っている段階。公道での運行は法制度や技術面において課題解決が必要と思われる点が散見されることから、今後の動向を注視したい」と答弁するにとどまった。
鹿児島市は九州新幹線からの2次アクセスの充実や中心市街地の活性化などを目的に、市電の本港区エリアへの延伸を構想。2011年度に検討を開始して2012年度に複数案を設定し、2019年度には現行の4ルート案に集約した。

一方で本港区エリアでは商業施設のドルフィンポートが2020年に閉鎖。北埠頭に新しいサッカースタジアムを整備する構想も浮上したが鹿児島県が難色を示して断念するなど再開発計画が流動的になり、市電延伸の検討は事実上中断した状態だ。本港区では現在、ドルフィンポート跡地に新しい総合体育館を整備する計画や、住吉町15番街区に鹿児島サンロイヤルホテルを移転する計画が進められている。鹿児島市は「(市電の延伸は)本港区エリアの施設整備の動向を踏まえて検討を行う必要があることから、状況を注視している」としている。
ZipparはZip Infrastructureが開発中の自走式ロープウェイ。搬器にバッテリーやモーターを搭載して自動運転を行う。営業実績はないが、宮城県富谷市や北海道石狩市など各地で導入を目指す動きがある。
《関連記事》
・鹿児島市電の延伸「体育館だけでは非常に厳しい」本港区エリア再開発が迷走
・仙台~富谷「都市型ロープウェイ」2ルート導入可能と結論 地下鉄・BRTとの比較は?
・鹿児島市電の延伸:鹿児島中央駅前~本港区エリア~水族館口など(未来鉄道データベース)
