和歌山県・和歌山市・紀の川市・和歌山電鉄の4者は11月24日、貴志川線の運営を公有民営の上下分離方式に移行させることで合意した。2028年4月以降の移行を目指す。

貴志川線は和歌山~貴志の14.3kmを結ぶ鉄道路線。かつては南海電鉄が運営していた。経営の悪化を受けて南海電鉄は廃止を計画したが最終的には両備グループが経営を引き継ぐことになり、2006年に同グループが全額出資する和歌山電鉄の路線として再スタートを切った。
現在は自治体が和歌山電鉄に対して線路改修費などの補助を行うことで上下分離方式に近い経営体制(みなし上下分離方式)を導入している。この事業スキームの期限が2025年度末のため、和歌山市などが2026年度以降の経営体制を検討していた。
4者によると、通勤・通学利用者の減少や物価高などの影響で鉄道事業の収支が悪化。老朽化に伴う鉄道施設の更新にも多額の費用がかかり、みなし上下分離方式による運行では将来にわたって存続していくことが困難な状況だ。このため4者は公有民営による完全な上下分離方式での運行を目指すことにしたという。この場合、和歌山県と和歌山市、紀の川市が施設を保有、管理し、和歌山電鉄が施設を無償で借り受けて列車を運行することになる。

和歌山市などが今年2025年9月に明らかにした検討結果によると、国や自治体の支援があるという前提で今後10年間の収支を試算したところ、みなし上下分離方式のままなら2億8000万円の赤字。完全上下分離方式なら4億7000万円の黒字という結果になったという。
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