鉄道・運輸機構は12月19日、工事中の北海道新幹線の札幌延伸(新函館北斗~札幌、約212km)について、事業費が最大で1兆2000億円増加するおそれがあると発表した。当初計画の2倍程度になる。同日、国土交通省の鉄道局に事業費の見込みを報告した。

北海道新幹線の札幌延伸は2012年に着工。この時点の計画では事業費を1兆6700億円としていた。2023年3月には、物価高騰などを受けて事業費の増額が認可され、現在は2兆3159億円としている。
完成・開業時期は2012年の着工当初で2030年度末を予定していたが、羊蹄トンネルなど一部の工区で大きな岩の出現や地質不良などがあり、工事が難航。鉄道・運輸機構は昨年2024年5月、2030年度末の完成・開業は困難との考えを国土交通大臣に報告した。
これを受けて国土交通省が設置した有識者会議が検討を実施。今年2025年3月には、完成・開業時期を2038年度末ごろとするとともに、事業費についても物価高騰や工事の遅れなどによる影響を注視するものとした。このため鉄道・運輸機構は事業費の精査を進めていた。
鉄道・運輸機構の報告によると、事業費の増加要素は「工事資材価格等の上昇による影響」「予期せぬ自然条件への対応」など5点。「工事資材価格等の上昇による影響」は、生コンクリートなどの資材価格上昇に加えて労務費の上昇などで5000億~5500億円の増加を見込む。「予期せぬ自然条件への対応」については羊蹄トンネルの岩塊撤去やトンネルの構造強化などで2000億~2500億円の増加を見込んだ。
ほかに「関係法令の改正等への対応」(1000億~1500億円増)や「関係者との協議等への対応」(1000億~1500億円増)、「工程短縮策等の実施」(500億~1000億円増)もあり、事業費は最小で9500億円の増加、最大では1兆2000億円増加するという。

今回の報告通りに増加した場合、北海道新幹線・新函館北斗~札幌の事業費は最大で約3兆5000億円程度になり、着工時点の2倍以上になりそうだ。鉄道・運輸機構は「国土交通省鉄道局からの指導のもと、有識者会議における検討に真摯に対応するとともに、事業主体としての説明責任を果たしてまいります」とコメントしている。
一方、事業費の精査は有識者会議が示した2038年度末ごろの完成・開業を前提に実施したが、鉄道・運輸機構として完成・開業時期を決めたものではなく、完成・開業時期は依然として流動的だ。北海道の鈴木直道知事は、鉄道・運輸機構の今回の報告について「地元の総意として求めてきた新たな開業時期は、未だ示されていない」としたうえで「(2023年3月の認可による)6445億円の増額に同意しているなか、事業費が増加する可能性が示されたこと、これにより財政状況の厳しい道及び駅設置市町においても更なる地方負担が増額となる可能性が生じていることは誠に遺憾」とコメントした。
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