北海道新幹線「日本最長になるかも」渡島トンネル、4工区目の掘削完了



鉄道・運輸機構は11月5日、北海道新幹線・新函館北斗~札幌の渡島トンネルについて、上ノ湯工区の本坑掘削が完了したと発表した。同トンネルの7工区のうち本坑掘削が完了したのは、これで4工区目。新函館北斗~札幌の全トンネル40工区のうち25工区の本坑掘削が完了した。

渡島トンネル上ノ湯工区の隣接工区(上二股工区)到達地点の状況(2025年11月4日)。【画像:鉄道・運輸機構】

渡島トンネルは新函館北斗~新八雲(仮称)の北斗市・厚沢部町・八雲町にまたがる長さ3万2715mのトンネル。新函館北斗寄りから村山・台場山・天狗・南鶉・北鶉・上二股・上ノ湯の7工区に分かれている。このうち村山・北鶉・上二股の3工区で掘削が完了済み。11月4日、上ノ湯工区の工事が隣接する上二股工区との境界に達し、本坑掘削が完了した。

鉄道・運輸機構が公表している10月1日時点の工事の進捗状況によると、残る3工区の本坑掘削率は天狗工区が94%に達しており、台場山工区側への長尺ボーリングを実施中だ。一方、台場山工区は52%、南鶉工区は54%にとどまっており、どちらも地質不良で工事が難航している。この2工区は2024年5月時点で3~4年程度の工期の遅れが生じているという。

渡島トンネルの上ノ湯工区の位置。【画像:鉄道・運輸機構】

現在、日本で最も長い鉄道トンネルは北海道新幹線・海峡線の青函トンネル(5万3850m)で、陸上の鉄道トンネルに限ると東北新幹線の八甲田トンネル(2万6455m)が最長。渡島トンネルは八甲田トンネルより6km以上長くなる。

一方、超電導磁気浮上式鉄道のリニア中央新幹線は、品川~神奈川県(仮称)で長さ3万6924mの第1首都圏トンネルが工事中。さらに地下駅の神奈川県駅と神奈川県~山梨県(仮称)に設けられる第2首都圏トンネルが連続してつながるため、これらを含めると約40kmの長さになる。渡島トンネルは最終的には日本で2番目に長い陸上鉄道トンネルになり、2本のレール上を鉄車輪の車両が走る鉄道(普通鉄道)の陸上トンネルとしては日本最長になる。

北海道新幹線とリニア中央新幹線はどちらも工事が大幅に遅れており、どちらが先に開業するか見通せない状況。仮に北海道新幹線が先に開業すれば、渡島トンネルはリニア中央新幹線が開業するまで一時的に日本最長の陸上鉄道トンネルになる可能性もある。

《関連記事》
北海道新幹線の後志トンネル塩谷工区「掘削完了」全体の掘削率は9割近くに
北海道新幹線の札幌延伸「少なくとも8年延期」さらに遅延も 開業時期は依然不透明
北海道新幹線の延伸:新函館北斗~札幌(未来鉄道データベース)