北越急行・トキ鉄「経営統合」2023年度に一定の方向性、新潟県知事が表明



新潟県の花角英世知事は2月27日、同県が出資している第三セクター鉄道2社(北越急行・えちごトキめき鉄道=トキ鉄)の経営統合について、来年度2023年度に一定の方向性を示す考えを明らかにした。

北越急行(左)とトキ鉄(右)の列車。【撮影・加工:草町義和】

同日開かれた県議会2月定例会の一般質問で花角知事が答弁したところによると、県は総務・経理・設備など部門別のワーキンググループをこのほど立ち上げた。知事は「来年度には経営の合理化等に向け、一定の方向性を見いだしたい」と述べた。

北越急行は上越線と北陸方面を短絡する六日町~犀潟59.5kmのほくほく線を運営。同線は国鉄新線の北越北線として1968年に着工したが、国鉄の経営悪化を受け1980年に工事が凍結された。完成後の運営を第三セクターが引き継ぐ条件で工事を再開することになり、1984年の北越急行設立、翌1985年の工事再開を経て1997年に開業した。

開業当初は上越新幹線の越後湯沢駅と北陸方面を結ぶ高速特急がほくほく線経由で運行。特急の通過収入に支えられ黒字経営だった。2015年の北陸新幹線・長野~金沢延伸開業により高速特急が廃止されて以降は赤字経営が続いている。2021年度の鉄道事業は約9億円の赤字だった。

北越急行(緑)とトキ鉄(赤)の運営路線。【画像:国土地理院地図、加工:草町義和】

トキ鉄は2015年、北陸新幹線の延伸開業に伴いJRから経営分離された並行在来線のうち、妙高はねうまライン(旧・信越本線)の妙高高原~直江津37.7kmと日本海ひすいライン(旧・北陸本線)の市振~直江津59.3kmの運営を引き継いだ。

観光列車「えちごトキめきリゾート雪月花」や「昭和レトロ」の雰囲気を持つ国鉄電車を使った観光急行を運行するなど観光客の誘致を推進しているが、沿線は上越市の中心部を除き人口が少ない過疎地で地元客の利用は少ない。2021年度の経常損益は約4億7000万円の損失。

新潟県は昨年2022年3月、県議会での議員からの提案を受ける形で経営統合の検討を開始。花角知事によると、県が中心となって関係市町や事業者と準備会合を重ねてきたが、両社の経営資源や経営内容などに違いが見受けられ、比較検討を行うための事前整理が必要になったとしてワーキンググループを立ち上げたという。

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