道南いさりび鉄道の運賃改定「認可」2025年4月1日に実施 20~100円値上げ



国土交通省の北海道運輸局長は10月16日、道南いさりび鉄道が申請していた旅客運賃の上限変更を認可した。これを受けて同社は来年2025年4月1日に運賃を改定する。全体の改定率は平均で約10.8%。

道南いさりび鉄道の列車。【画像:まこりげ/写真AC】

普通旅客運賃は各距離帯で20円から100円の値上げ。初乗り(1~2km)は現行190円のところ210円、8~10kmの区間は現行310円のところ340円、33~38kmの区間は現行980円のところ1080円にそれぞれ値上げされる。定期旅客運賃は1カ月の場合、9kmの区間で通勤が940円値上げの1万650円。通学(高校生)は640円値上げの7290円になる。

普通旅客運賃の改定額と現行額。【画像:道南いさりび鉄道】

国土交通省によると、道南いさりび鉄道の鉄道事業は2023年度の実績で収入が19億139万2000円だったのに対し支出は21億1347万4000円で、収支(配当所要額除く)は2億1208万2000円の赤字。本年度2024年度も2億4919万3000円の赤字が見込まれている。

平年3年間の合計では、現行運賃のままなら8億7874万6000円の赤字が見込まれるのに対し、運賃を改定した場合は赤字額が8億4796万1000円で3000万円ほど縮小されるという。

道南いさりび鉄道によると、鉄道施設の維持管理のための経費負担が大きいうえ、沿線人口の減少なども経営に大きな影響を与えているという。同社は「安全安心な鉄道インフラを日々適切に維持更新し、次世代に負担を先送りすることなく、将来にわたり健全な鉄道事業の運営が引き続き図られるよう、ご利用のお客様にもご負担をお願いいたしたく、上限旅客運賃の認可申請に及んだ次第」としている。

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