弘南鉄道「名前だけ大鰐線に乗車権」発売 オリジナルデザインのTシャツ付き



弘南鉄道(青森県)は「大鰐線VRバーチャルライド券」を発売した。利用者の減少で存亡の危機に立っている大鰐線を支援するため、弘南鉄道ウェブサイトの制作会社「アフロディレクターズ」が企画した。

廃止が取りざたされている弘南鉄道大鰐線。【画像:弘南鉄道】

「バーチャルライド券」を購入すると、購入者の名前を掲載したポスターを車内に掲示。名前の文字だけ大鰐線の列車に乗ってもらう。また、大鰐線の「人が座っているような形」の線形をデザインしたオリジナルTシャツが付く。このTシャツを着て実際に乗車した人には、実乗車記念シールをプレゼントする。

発売額は3300円で、3月29日23時59分まで弘南鉄道のネットショップで予約を受け付ける。販売金額の一部が弘南鉄道の運営費に充当される。Tシャツは「2021弘前さくらまつり」に間に合うように製作し、4月中旬に購入者に送る。

オリジナルTシャツのイメージ。【画像:弘南鉄道】

大鰐線はJR奥羽本線に並行して大鰐駅(大鰐町)と中央弘前駅(弘前市)を結ぶ13.9kmの鉄道路線。1952年に三菱電機が資本参加した弘前電気鉄道の路線として開業したが、経営の悪化から1970年に弘南線を運営する弘南鉄道が引き継いだ。1970年代の1日1km平均の利用者数(輸送密度)はおおむね4000人を超えていたが、その後は徐々に減少。2018年度は558人まで落ち込んでおり、弘南鉄道は2013年に大鰐線の廃止を表明したこともある。

その後廃止の方針は撤回されたが予断を許さない状況が続いており、沿線の大鰐町と弘前市は2021年度から5年間、国と青森県の補助対象外となっている経費の支援を行う計画。しかし収支の改善が図られなかった場合、弘南鉄道は2025年度末の廃止も視野に入れ沿線自治体と協議する方針だ。