平成筑豊鉄道「バス転換」調査へ 法定協議会、鉄道維持案やBRT案と比較



平成筑豊鉄道(福岡県)の今後のあり方を話し合う法定協議会は、路線バスに転換するケースの調査を実施する。すでに実施している上下分離案とバス高速輸送システム(BRT)転換案の調査結果と比較し、鉄道の存廃を決める。

平成筑豊鉄道の列車。【撮影:草町義和】

平成筑豊鉄道の運営路線のうち伊田線・糸田線・田川線の3線は利用者の減少などにより厳しい経営が続いており、沿線自治体などは3線の今後のあり方を検討する「平成筑豊鉄道沿線地域公共交通協議会」を地域交通法に基づく法定協議会として1月に設置。鉄道維持の「上下分離」と鉄道廃止の「BRT」「路線バス」の3案を基本に、これまでに上下分離案とBRT案のシミュレーションを実施している。5月26日に開かれた第3回会合では、路線バス転換案の調査の実施を決めた。

上下分離案は線路施設を保有、管理する第3種鉄道事業者と列車の運行・営業を行う第2種鉄道事業者に分離する完全分離型でシミュレーションを実施。施設の健全化対策を優先的に実施する場合、1年目は6億8000万円の赤字の見込みで、その後も毎年5~8億円程度の赤字が続く。21年目から25年目にかけては新型車両(13両)の導入で毎年11~12億円程度の赤字に。26年目以降は毎年9億円台の赤字が続き、30年目は10億1000万円の赤字になるとした。

鉄道維持(上下分離)案の収支シミュレーション。【画像:福岡県】

BRT案は鉄道を廃止して線路敷地をバス専用道に改築し、中型バス(定員60人)を運行することを想定。ただし伊田線の直方~あかぢ付近と田川伊田駅付近、糸田線の糸田付近~田川後藤寺、田川線の田川伊田~上伊田と美夜古泉付近~行橋は一般道を走るものとしている。専用道の整備には3年程度かかり、そのあいだは代行バスの運行を想定する。

シミュレーションでは事業開始の1年目から3年目まで専用道の工事などのため大規模な投資が必要になり、赤字額も毎年39~42億円程度に。BRT運行開始の4年目は3億2000万円の赤字で、30年目は5億4000万円の赤字になるとしている。

BRT案の収支シミュレーション。【画像:福岡県】
線路敷地を改築した専用道を走る気仙沼線BRTのバス。【撮影:草町義和】

路線バス案は鉄道を廃止して一般道を走るバスを運行するもの。今後の調査ではルート案として赤村~行橋市を結ぶ「京筑線」と直方市~赤村を結ぶ「筑豊線」の2系統を設定し、筑豊線は各停留所に停車する「各駅停車号」に加えバスセンターのみ停車する「特急号」の運行も想定する。ほかにも田川伊田と育徳館高校を直通するバスの運行を想定する。

協議会は今後、鉄道の利用状況調査に加え、沿線の県立中学・高校生の利用実態調査を学生へのアンケートで実施。路線バス転換案のシミュレーション調査を行う。調査結果は秋ごろまでに取りまとめて上下分離案やBRT案と比較する。最終的な結論は本年度2025年度中に出す見通しだ。

平成筑豊鉄道が運営する伊田線・金田線・田川線のルート。【画像:OpenRailwayMap/OpenStreetMap、加工:鉄道プレスネット】

平成筑豊鉄道が運営する3線は、かつて国鉄が運営していた鉄道路線。沿線の筑豊炭田で算出された石炭を輸送する鉄道として整備された。貨物輸送量が多かったことから、伊田線はローカル線としては珍しい複線になっている。

しかし炭鉱の閉山で輸送量が減少し、3線は国鉄再建法に基づき廃止対象の特定地方交通線に指定。1989年、第三セクターの平成筑豊鉄道が経営を引き継いだ。転換後はセメント貨物輸送が経営を下支えしていたが、2004年に廃止。以降は旅客輸送のみ行っている。輸送密度は国鉄時代の1977~1979年度で伊田線が2871人、糸田線が1488人、田川線が2132人。コロナ禍が本格化する前の2019年度は3線あわせて805人だった。

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