知立市が鉄道事故の賠償金を補填 整備進む自治体の「認知症徘徊事故」保険制度



愛知県の知立市は本年度2020年度より、認知症などの人が徘徊(はいかい)して引き起こした鉄道事故などの賠償金を市が補填(ほてん)する事業を始めた。

踏切が開くのを待っている高齢者(記事の内容とは関係ありません)。【画像:Green Planet/写真AC】

知立市の徘徊高齢者メール配信システム「いまどこねっと」に登録することを条件に、同市が契約者となる個人賠償責任保険に加入することで、賠償金を補填する。

愛知県では2007年12月、認知症の高齢者が大府市内にあるJR東海の駅構内に侵入し、列車にはねられ死亡した。JR東海は、この事後の影響で発生した損害の賠償(約720万円)を求めて遺族を提訴。1・2審では遺族側に全額もしくは半額の支払いが命じられたが、2016年の最高裁はJR東海の請求を退け、遺族に支払い義務はないとした。

これを機に、認知症の人が発生させた事故の賠償金を自治体が支援する制度が各地で導入されている。まず2017年、神奈川県の大和市が「はいかい高齢者個人賠償責任保険事業」をスタート。踏切事故などで第三者に損害を負わせた場合などに、保険で最大3億円を補償できるようにした。

現在は2007年の事故が発生した大府市のほか、東京都葛飾区、栃木県小山市などでも同様の制度が導入されている。