JR北海道は6月4日、2020年度の線区別収支と利用状況を発表した。新型コロナウイルス感染症の拡大による移動需要の減少で、各線区とも大幅に収入・利用者が減った。
営業収益はコロナ禍で大幅に減少。営業損失は合計841億5900万円で、289億7600万円拡大した。営業損失の拡大幅は、インバウンドなどの観光や出張の利用が多く営業収益の規模が大きい各線区が275億2700万円と大部分を占め、このうち空港アクセスの利用などが減少した札幌圏の各線区で156億1800万円と、全線区合計の半分以上を占めた。
北海道新幹線は列車の減便による他社車両の使用料が減ったため営業費用が3600万円減少したものの、営業収益は51億9900万円の減少。営業損失は50億8200万円拡大した。
利用状況も収支と同様に新型コロナウイルス感染症の影響を受け、1日1kmの平均通過人員(輸送密度)はほぼ全線区で大幅に減少した。全体では約4.6割の減少(2019年度:4926人→2020年度:2758人)。札幌圏の函館本線・札幌~岩見沢間は2019年度が4万1284人だったのに対し、2020年度は約4割減の2万6472人となった。
輸送密度が最小だったのは、バス代行区間を含む根室本線・富良野~新得間(2019年度:82人→2020年度57人)。バス代行区間を含まない線区では留萌本線・深川~留萌間(2019年度:137人→2020年度:90人)が最小だった。
2020年5月7日付けで廃止(同年4月17日限り運転終了)された札沼線の北海道医療大学~新十津川間は6割以上の増加(2019年度:71人→2020年度:117人)となった。廃止前の「お名残乗車」で増えたとみられる。