36年前に廃止されたJR大社線の終点・大社駅(島根県出雲市)に残る駅舎の保存修理工事が完了した。老朽化した部分の修理に加え、開業後に改変された部分の復元も一部行われている。1・2月に一般見学会が行われ、4月に再オープンする。

大社線は1912年、出雲大社への参詣路線として出雲今市(現在の出雲市)~大社の7.5kmが開業した。終点の大社駅は1924年、現在も残る木造平屋の2代目駅舎(441.23平方m)が完成。かつては関西方面から大社駅に直通する列車も運行されていた。
戦後は1980年に公布された国鉄再建法に基づき廃止対象路線に指定。JR西日本への暫定継承を経て1990年に廃止された。のちに線路敷地が自転車道として再整備されたほか、大社駅の2代目駅舎は「優れた意匠の木造和風鉄道駅舎として我が国を代表する建築」(文化庁)だったこともあり現地で保存。1995年に大社町(現在の出雲市)が施設を譲り受け、2004年には「旧大社駅本屋」として重要文化財に指定された。
保存修理工事は2021年2月に始まり、一般公開を休止。昨年2025年12月に工事が完了した。「手小荷物扱室」はこれまで倉庫として使われていたが、今回の修理を機に限定公開エリアに変更。三等待合室から窓越しに観覧できるほか、イベント時などには入室公開も行う。隣接する「保管庫(2室)」は非公開で、保存修理後の取り外し部材を現地保管する。
「一・二等待合室」は公開エリアで、大社駅や大社線を紹介するガイダンスエリアとし、関連資料や保存修理の部材を展示する。旧大社駅本屋の中心的な施設となる「三等待合室」は、事務室側の壁面を復元することで空間を拡張した。「旧出札室」も鉄格子など改変された部分を復元。イベント時などに入室公開する限定公開エリアになる。

1935年に整備され、出雲大社を訪問する皇室関係者などが休憩するための施設だった貴賓室は限定公開エリア。当時の応接セットなど調度品が現存する。駅長室を含む事務室はホームに隣接する東側のみ公開。それ以外は非公開で管理事務室として利用する。
このほか、駅舎から少し離れた場所に「多目的棟」(185.49平方m)も今年2026年3月19日に完成する予定。多目的室とトイレ、倉庫が設けられる。


一般見学会は1月31日と2月1日の計2日で開催時刻は10~15時。入場無料で事前申込も不要だが、駅舎内の料金表などの看板や貴賓室の調度品は見学会後に設置される予定だ。再オープン初日となる4月15日は10~11時に開館式が行われる予定で、一般入館は開館式のあとになる。また、4月18日にも10~19時にオープニングイベントが行われる予定だ。
再オープン後は原則として9時~16時30分を開館時間とし、休館日は毎週水曜日(水曜日が祝日の場合は直後の平日)。本屋入館料は一般300円・小学生150円・未就学児無料となる。
《関連記事》
・一畑電車「100万円の黒字」目指す 再構築計画認定、新車やキャッシュレス導入も
・「天皇の貴賓室」あるJR畝傍駅、解体→保存へ 奈良県橿原市が活用提案の募集開始
・山陰新幹線:大阪~下関(未来鉄道データベース)
