愛知県北名古屋市は、同市が検討を進めてきた名鉄犬山線の連続立体交差化を先送りする方針を決めた。

この連続立体交差化は、犬山線の西春駅と徳重・名古屋芸大駅を含む区間で鉄道と道路の交差を立体化し、ボトルネック踏切2カ所を含む7カ所の踏切を解消する構想。西春駅の上小田井寄りは一部がすでに高架化されており、この高架橋を南北に延長する形になる。
2006年の西春町と師勝町の合併で北名古屋市が発足したのを機に立体化の構想が浮上。同市は鉄道の高架化に加え、道路の高架化やアンバーパス化などの代替手段も含めて比較検討していた。

北名古屋市が今年2025年3月に明らかにした比較検討結果によると、鉄道の高架化は事業期間が長く事業費も高いなどの課題があるものの、交通機能や安全性、市街地形成など各項目で優れているとし、整備手法は鉄道高架が妥当とした。
その一方で同市は「財政状況に鑑み、老朽化した公共施設の再配置や雨水対策など市民の生命・財産を守るために早急に対応すべき事業、財政基盤強化を図る事業を優先的に進めている」としたうえで、鉄道の高架化は「事業効果が高い反面、事業期間・事業費などの事業規模が大きく、一度先送りする」とした。当面は歩行者の安全対策について関係者と意見交換や協議を行っていくという。
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