名鉄名古屋駅「大改造」4線化と高層ビル整備 「わかりやすさ」「スムーズ」目指す



名鉄はこれまで検討を進めていた「名古屋駅地区再開発計画」の事業化を決めた。地下の名鉄名古屋駅を再整備し、その上部にある名鉄百貨店などの建物を撤去して高層ビルを整備。リニア中央新幹線の開業に向けて大改造する。名鉄が3月24日、計画の概要を発表した。

再整備される名鉄名古屋駅。【撮影:草町義和】

現在の名鉄名古屋駅は単式ホームと島式ホームを組み合わせた3面2線だが、再整備では線路を増やして4線化。ホームを行先方面別などに分けることで「誰にもわかりやすい駅」の実現を目指す。ホームドアの整備による安全性向上や、ホーム・コンコースの拡張などによる大規模災害発生時の対応力向上も図る。

再開発計画の対象エリア(左)と2期リニューアル後(4線化)のイメージ(右)。【画像:名鉄】

また、中部空港アクセス強化策として「空港アクセスホーム」を設置。空港アクセスの「わかりやすさ」と利便性向上を目指すのに加え、「ゆとり」をもった駅空間の整備と段差解消、案内充実、空港アクセス列車の停車時間の増大を図る。

「空港アクセスホーム」のイメージ。ホームドアも整備する。【画像:名鉄】

ほかの公共交通などとの連携も強化。複数の旅客動線のバリアフリー化を図るほか、名古屋市が整備する広場空間「ターミナルスクエア」を介してリニア中央新幹線など各交通機関との「わかりやすくスムーズな乗換」の実現を目指す。また、笹島交差点付近に新たな改札口を設置し、名駅南地区へのアクセス性向上を図る。

再開発計画による高層ビルは、太閤通を挟んでJR名古屋駅寄りビルとささしまライブ寄りビルの2棟を整備。JR名古屋駅寄りのビルは、おもに商業施設や駐車場、オフィスを設ける。ささしまライブ寄りビルはバスターミナルや駐車場、オフィス、ホテルを設ける。

高層ビル2棟の用途イメージ。【画像:名鉄】
再開発計画の地上部のイメージ。【画像:名鉄】

今後は再開発エリアの既存施設を来年度2025年度中に閉鎖。来年2026年2月28日に名鉄百貨店本店の営業を終了し、同年3月22日には名鉄グランドホテルも営業を終了する。名鉄バスセンターは2026年3月中に営業を終了するが、名古屋駅周辺で代替機能を確保する。

2026年度には既存施設の解体工事に着手し、2027年度から新築工事に着手する。まず2033年度に第1期本工事を完成させる予定。オフィスと商業施設(一部)、ホテル、バスターミナルをオープンするほか、名鉄名古屋駅も2線でリニューアルする。続いて2040年代前半に第2期本工事を完成させ、商業施設を全面オープン。名鉄名古屋駅は4線化される予定だ。

再開発計画の全体スケジュール。【画像:名鉄】

再開発計画では名鉄のほか、名鉄都市開発と日本生命保険、近鉄、近鉄不動産が共同事業者として参画する。敷地面積は約3万2700平方mで延床面積が約52万平方m。投資額(名鉄開発事業分)は約5400億円。名鉄は「名古屋駅を起点とした都心回遊性を向上させるとともに、再開発エリアにとどまらない沿線・地域の価値最大化につながるまちづくりを行い、新たなランドマークを目指します」としている。

「波及」と「連携」を目指す再開発のイメージ。高層ビル2棟(赤)を整備する。【画像:名鉄】

名古屋駅では現在、リニア中央新幹線の工事が進められている。名鉄は「リニア中央新幹線開業と、これを契機に名古屋市等が進めるスーパーターミナル化を千載一遇の機会と捉え、沿線・地域に国内外から人を呼び込むため、都市としての名古屋の魅力を高めグループ成長の起爆剤ともなる名古屋駅地区再開発計画を、名鉄名古屋駅再整備とともに推進します」とアピールしている。

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