小名浜港(福島県いわき市)に乗り入れている貨物線の旅客化構想が浮上した。プロサッカーチーム「いわきFC」の本拠地になる新しいスタジアムが小名浜港に整備されることから、同港エリアの交通対策として貨物線を活用するもの。いわき市は対策協議会を設置し、貨物線の旅客化案も含め調査・検討を進める。

この貨物線は、常磐線の泉駅と小名浜港に近い小名浜駅を結ぶ4.8kmの路線。全線非電化・単線で、JR貨物や福島県などが出資する福島臨海鉄道が運営している。1972年に旅客列車の運行を終了したが、その後もイベント開催にあわせてJR東日本の旅客列車が臨時運行されることがあった。
新スタジアムは小名浜港の2・3号ふ頭付近が候補地。近くには小名浜駅や商業施設「イオンモールいわき小名浜」などがある。いわき市が示している現在のスケジュールによると、新スタジアムは2027年11月までに着工し、遅くとも2031年までに完成させることを目指すという。
いわき市は今年2025年9月にウェブアンケートを実施。いわきFCの現在の本拠地「ハワイアンズスタジアムいわき」の来訪者(9月20日、水戸ホーリーホック戦)にウェブアンケート用のQRコードを配布し、9月28日時点で445票を回収した。アンケート結果によると、新スタジアムが整備された場合の来訪手段は自家用車と回答したのが73.5%を占め、「泉駅~小名浜駅間の貨物線を使った臨時列車」を使うと回答したのは8.8%だったという。
福島臨海鉄道は11月13日、同社の見解を発表。いわき市の調査について「貨物鉄道を運行している当社についての、小名浜港地区へのスタジアム整備に伴う自家用車代替手段としての可能性調査が行われているところ」とし、そのうえで「いわき市が行っている調査に対して協力を行っているという状況であり、弊社が主体的に旅客化を検討している事実は無い」としている。

いわき市は学識経験者やJR東日本、福島臨海鉄道、国土交通省、福島県などで構成される「小名浜港周辺エリアにおける防災・交通対策協議会」を設置し、10月6日に第1回会合を開いた。今後は来年2026年3月までに3回開催し、整備パターンの比較などを行う考えだ。
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