叡山電鉄「ノスタルジック731」再リニューアル 「さらにデナ1形風」イメージ公表



叡山電鉄(京都市)は1月19日、700系電車のリニューアル車「ノスタルジック731」(700系デオ730形731号)を再びリニューアルし、「ノスタルジック731改」として2月22日から運行を開始すると発表した。

再リニューアル前の731号「ノスタルジック731」。【画像:叡山電鉄】

731号は2015年、叡山電鉄の開業90周年を記念して「ノスタルジック731」としてリニューアル。叡山本線の開業時に運行されていたデナ1形をイメージし、緑一色の外観塗装と木目をベースにした車内装飾が施された。今回の「ノスタルジック731改」へのリニューアルでも「ノスタルジック731」のデザインを引き継ぎつつ、デナ1形のデザインをさらに取り込む。

外観は先頭部に1灯式のヘッドライトを設置。マット塗色風の質感に仕上げ、重厚感や高級感を演出するという。外板の幕板部には、当時の車両の特徴だった屋根色を模して鉛丹色塗装を施す。車両番号や社名の銘板には立体的な造作物を採用することでレトロ感をさらに醸し出すという。

1灯式のヘッドライトを先頭部に設けた「ノスタルジック731改」のイメージ。【画像:叡山電鉄】
「ノスタルジック731改」の側面・先頭部。【画像:叡山電鉄】

車内は大正時代の車両の標準的な仕様を再現。座席シートは赤色の布地を使用し、床は木目調のデザインを施す。バリアフリー対策として、ドアの開閉表示灯とドアチャイム、触知表示板を新設。八瀬比叡山口・鞍馬寄りのドア付近には車椅子・ベビーカースペースを1カ所配置する。このスペースの床に車椅子・ベビーカースペースであることを示す案内を設置し、優先座席も黄色としてバリアフリーに対応していることを明示する。

また、多言語対応として車外の行先表示器は日本語のほか英語や韓国語、中国語(簡体字)の4カ国後で表示。車内の照明とヘッドライト、テールライト、行先表示器にはLEDを採用して省エネルギー化を図る。

「ノスタルジック731改」の車内イメージ。【画像:叡山電鉄】

運行初日の今年2024年2月22日は修学院6時42分発の八瀬比叡山口行きから運用に入り、出町柳駅からの初列車は7時18分発の八瀬比叡山口行きになる。叡山電鉄は「開業100周年を2025年に控え、これまでの歴史に思いを馳せつつ、復刻版として新たに生まれ変わる『ノスタルジック731改』に、どうぞご期待ください」とアピールしている。

700系は1987年にデビューした、1両運転・ワンマン運転対応の両運転台電車。叡山電鉄の車両としては初めて冷房装置を搭載した。731号を除く車両は2018年からリニューアルを開始。昨年2023年までに711・712・722・723・732号の5両がリニューアルされた。このうち2018年にリニューアルされた732号は楕円(だえん)形の運転台や窓を設けるなど大規模な改造が行われ、観光列車「ひえい」として運用されている。731号の再リニューアルで2018年からの700系リニューアルは6両目になる。

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