ジブラルタル海峡をくぐって欧州のスペインとアフリカのモロッコを結ぶ海底トンネル「ジブラルタルトンネル」の事業化に向けた動きが活発になっている。スペイン運輸省が実施した実現可能性調査で、技術的には実現可能と報告された。10月29日、スペインのメディア『ボスポプリ』などが報じた。

この調査はスペイン政府系の団体がドイツのトンネル掘削機メーカー「ヘレンクネヒト」に委託して実施したもの。『ボスポプリ』などによると、地質条件が極めて厳しい部分で鉄道トンネルを建設できるかどうか評価。報告書は「極めて複雑ではあるものの、技術的には実現可能」と結論付けたという。
現在想定されている計画によると、ジブラルタルトンネルは全長約42kmで、このうちスペインのパロマ岬付近からモロッコの都市タンジェのマラバタ岬付近まで約28kmが海底区間。最も深い場所は海面下475mになる。単線の鉄道トンネル2本と業務用トンネル1本を整備することが考えられている。
これまでの建設費の試算では最大で150億ユーロ(約2兆6800億円)と見積もられており、スペイン領内の区間だけでも85億ユーロ(約1兆5200億円)を超えると推定されている。このトンネルと両国の高速鉄道を接続した場合、スペインの首都マドリッドとモロッコの最大都市カサブランカは5時間半程度で結ばれるとみられている。

ジブラルタル海峡を渡る交通路を整備しようという提案は遅くとも19世紀にはあり、海底トンネルのほか橋や海中トンネル、ダムを整備する提案もあった。現在の海底トンネル構想は1979年のスペイン・モロッコ共同宣言を機に調査や検討が行われてきた。2003年には鉄道トンネルを整備することで両国が合意している。
西サハラ問題でスペイン・モロッコ両国の関係が悪化するなどして計画は進展しなかったが、2023年2月に両国政府のハイレベル会合でプロジェクトの再開が正式に決定し、調査が行われていた。今年2025年8月には両国政府が計画を正式に承認。スペインは2027年にも試掘トンネルの入札について可否判断を示すとみられる。
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