長野電鉄は7月31日、鉄道旅客運賃上限変更認可を国土交通省の北陸信越運輸局長に申請した。認可された場合、長野電鉄は12月1日に運賃を改定する計画。平均26.5%値上げする。

普通旅客運賃の上限は、初乗り(2kmまで)が現行170円のところ40円値上げし、200円を超えて210円に。長野~須坂など13~14kmの区間は現行550円から130円値上げの680円になる。長野~湯田中33.2kmは現行1190円から470円値上げの1660円。
定期旅客運賃の上限は通勤・1カ月の場合、1~2kmの区間で2060円値上げの8080円、13~14kmの区間は2710円値上げの2万4930円になる。通学・1カ月は1~2kmが1150円値上げの4520円、13~14kmが960円値上げの1万3390円だ。

長野電鉄によると、コロナ禍前の年間輸送人員は約810万人で推移していたが、コロナ禍の影響で2020年度は604万人に減少。その後は回復傾向にあるものの、生活様式の変化や長期的な人口減少も相まって、2024年度は745万人にとどまっている。
一方で変電所の更新や枕木のプレストレストコンクリート(PC)化などの安全対策への投資が必要で、自動出改札システムの導入など旅客サービス向上のための投資も必要な状況。人材確保に向けた待遇改善や物価上昇など営業費の増加もあり、現行の運賃水準では鉄道事業の運営が困難と判断した。
鉄道部門の収支は2024年度の実績で収入が19億6654万4000円だったのに対し、支出は19億7378万8000円で724万3000円の赤字。2026~2028年度の3年間合計の推計は現行運賃のままなら15億3284万5000円の赤字だが、運賃を改定した場合は赤字額を2億2470万6000円に縮小できるという。
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