京成電鉄「車両数を変えられる新型車両」導入へ 中計に明記、空港輸送「容量拡大」も



京成電鉄は7月29日、新型車両「3200形」を導入する方針を明らかにした。同日発表した2022~2024年度の中期経営計画に盛り込んだ。

成田スカイアクセス線を走る京成電鉄の3100形。【撮影:草町義和】

中期計画は「編成車両数が変更できる新形式車両(3200形)の導入」を明記。詳細は明らかにしていない。京成電鉄の編成は最大8両。2両編成や4両編成、6両編成など短い編成の新型車両を導入して車両数を抑え、利用者が多い区間では複数の編成をつないで運用するなどして対応する狙いがあるとみられる。

重点施策として空港輸送の強化も挙げた。京成上野~成田空港(成田スカイアクセス線経由)の線路・駅施設は、成田空港アクセス特急「スカイライナー」停車駅の改良や線路容量の拡大に向けた取組を推進。「スカイライナー」も増備や設備改良などサービス強化に向けた取組を図る。また、宗吾車両基地は機能強化に向け用地買収や設計などに取り組む。

成田スカイアクセス線を走る「スカイライナー」。新鎌ケ谷~千葉ニュータウン中央は計画が中止された千葉県営鉄道北千葉線の旧予定地(右)が並行しており敷地に余裕がある。【撮影:草町義和】

成田空港はA滑走路の夜間制限緩和やB滑走路の延伸(2500m→3000m)、新C滑走路の新設(3500m)が計画されており、2028年度末に供用開始の予定。年間発着容量は現在の30万回から50万回に増強される。京成電鉄は成田空港の機能強化に伴う輸送需要の増加に備えてハード面の強化を推進するとしている。

営業面では貨客混載輸送の推進や「スカイライナー」停車パターンの見直しを含むダイヤ改正、「MaaS」や企画切符などの拡充、各種イベント列車の運行などを通じたマイクロツーリズムの促進などを目指す。災害対策は京成本線・荒川橋梁の架け替えを含む耐震補強や法面(のりめん)補強、河川橋梁の架け替えなどを推進。押上駅へのホームドア設置や防犯カメラを備えた新型車両の導入なども盛り込んだ。

2024年度の数値計画合計(連結修正後)は営業収益が2021年度より1248億円増の3390億円、営業利益は428億円増の376億円。このうち運輸業は営業収益で729億円増の1905億円、営業利益では345億円増の218億円を目指す。全体ではコロナ禍による行動制限などの社会的制約がないものとし、定期外輸送人員は成田空港輸送を除き2019年度並み。成田空港輸送は2019年度を上回るとした。定期輸送人員は2019年度の9割程度を見込む。

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