英国のハイディ・アレクサンダー運輸大臣は6月18日、高速鉄道「HS2」の開業が2033年以降になることを明らかにした。当初の予定から少なくとも7年以上遅れる。

HS2は首都ロンドンとイングランド中西部のバーミンガムを経て北部のマンチェスターやリーズを結ぶ最高速度360km/hの高速鉄道。2013年までに計画が承認された。当初の計画ではロンドン~バーミンガムの約192kmを第1期区間として2026年に開業し、第2期区間のバーミンガム~マンチェスター・リーズは2030年ごろの開業を目指していた。
第1期区間の工事は2019年から始まったが、度重なる計画の見直しや物価の高騰などで事業費が膨張。2015年時点で557億ポンドとされていたが、2020年時点の政府試算では倍近い1060億ポンドとされている。こうしたことから第2期区間は2023年10月までに計画の中止が決定。第1期区間も工事が大幅に遅れており、開業予定時期は2029~2033年に変更されていた。

アレクサンダー運輸大臣は6月18日の議会で「2033年までに(第1期区間で)列車を運行できる道は見当たらない」と断言。一方でHS2運営会社の新しい経営者に「たとえ時間がかかったとしても、残りの鉄道部分を安全に、合理的な最低コストで建設することが最優先事項であることを伝えた」とし、第1期区間の計画を維持するとともにコスト管理体制の刷新などを進める考えを示した。

HS2の第1期区間で運用される車両の製造と保守は2021年、日立レールとアルストムの共同事業体が19億7000万ポンドで受注している。開業時期の変更で車両の製造スケジュールにも影響が出るとみられる。
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