いすみ鉄道「一部再開」全線の約6割、2年半後までに 脱線車両ようやく回送



脱線事故の影響で全線運休中のいすみ鉄道は6月2日、2年半後の2027年秋ごろまでに一部区間の復旧・再開を目指すと発表した。

一部区間の再開時期のめどが示されたいすみ鉄道。【画像:写真AC】

いすみ鉄道によると、同社はこれまで全線の約6割にあたる大原~大多喜15.9kmの復旧に取り組んできた。事故現場や老朽化が激しい部分の補修を進めてきたのに加え、JR東日本などと連携しながら安全確保策について詳細な検討を実施。その結果、2027年秋ごろまでに大原~大多喜の運行再開を目指すことを決めた。復旧費用は代行輸送費を含め約14億5000万円程度の見込み。いすみ鉄道は千葉県や関係市町に支援を要請したという。

残る大多喜~上総中野の10.9kmについて、いすみ鉄道は「今後、復旧等の費用や期間に係る調査を進めていきます」としており、再開時期の目安などは示していない。

いすみ鉄道の位置(緑=2027年秋ごろまでに再開、赤=再開時期未定)。【画像:OpenRailwayMap/OpenStreetMap、加工:鉄道プレスネット】

いすみ鉄道は「運休期間が長期化し誠に申し訳ございませんが、復旧までの間の代行輸送をしっかりと確保しながら、安全対策の徹底を図るよう引き続き全力を尽くしてまいりますので、どうか御理解くださいますようお願い申し上げます」としている。

いすみ鉄道は外房線・大原駅と小湊鉄道線・上総中野駅を結ぶ全長26.8kmのいすみ線を運営。昨年2024年10月4日、国吉~上総中川で脱線事故が発生し、全線の運転を見合わせてバスによる代行輸送を実施している。脱線した2両は長らく現場に留置されていたが、今年2025年6月3日、大多喜駅に回送された。

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